銀月の狼 3 【登坂広臣】

むかし話 ページ1

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むかしむかし、一匹の妖と一人の人間の女がいました





妖は人のような姿をしており、女と恋をしました




しかし、


妖の本当の姿はそれはそれは恐ろしい銀の毛髪を持った狼でした




人々は妖を恐れました




それでも女は妖を受け入れました



妖が心優しいことを知っていたからです





やがて妖と女の間には子が産まれました




大きな力を宿した、半妖の子です






子は半妖でしたが、人間としてすくすくと育ちました






子が九つになったころ、子の中の妖の血が覚醒しました





子は人間から狼へと姿を変えました。




それは父親の妖と同じ姿でした





妖の血は暴走し、





子は親である妖と女はもちろんのこと、



村に住んでいた多くの人間と他の妖を殺してしまいました





死んだ多くの妖の血を浴びた子は、純血の妖になってしまいました






その夜は、酷く美しい銀色の満月だったそうな





子の暴走は村へ村へと伝えられ、



やがて、"銀月の狼"と恐れられるようになった________





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