来世は一緒に空を飛べるといいね 2【ヒロアカ】【鬼滅の刃】 (ページ10)

今日:1 hit、昨日:5 hit、合計:67,821 hit

六十話「鬼殺隊当主から」ページ10

.

雄英高校の校長、根津のもとに一通の手紙が届いたのはつい先日のこと。

校長室の小窓から顔を出した鴉が「鬼殺隊当主からの遣い」だと言い、咥えていた手紙を受け取ったあと根津が質問しようとしたがすぐに飛び去ってしまったという。

鴉が話すことについては、同じく"喋る動物"の部類に入るため気にならなかった。何故なら個性社会、言ってしまえば何でもアリなのだ。

手紙の中身は、ヒーロー達が待ちわびた申し出であった。

鬼殺隊当主の直筆と思われるそれには、ヒーローと鬼殺隊の会談の場を設けたいという内容が書かれていた。

更には鬼殺隊や鬼の歴史、現代にも鬼が繁殖している理由など出来る限り話したいとのこと。

今後お互いがどう立ち回るべきかの会話もしたいらしく、まさに大盤振る舞いと言っていい。

しかし、あまりに突然のことで「ハイスペック」を持つ根津ですら困惑した。

そして手紙の内容で一番驚くべきは、その鬼殺隊当主の名だ。

「産屋敷耀哉」

知らぬ者はほぼいないのではないだろうか。

日本古来より続く一族であり、ヒーロー界、政界、一般市民にまで名を轟かせる超大物である。全国各地に「産屋敷」が所有する施設があるのも有名な話だ。

そんな彼が元人間である鬼を殺し続ける組織のトップだった。一体誰が信じられようか。

しかも鬼殺隊の多くは10代後半から20代という年若いメンバーで形成していると推測される。産屋敷耀哉自身もまだ20代の青年だったはずだ。

これらを知った上で、会談の申し出を断るわけがない。そもそも以前からその気でいたのだ。向こうから来てくれたのなら好都合である。

後日、再び現れた鴉に了承の意と会談場所は雄英高校と伝えた。

鬼殺隊にはどれほどの戦力があるのかが分からない。これまで遭遇した「柱」達の実力を見れば「防御」に特化したヒーローのお膝元、雄英高校を指定するのは当然のことだ。

産屋敷の答えは「〇」。数日後、ついに謎のベールに包まれた鬼殺隊の全容を知ることができる。

ヒーローには彼らの行いを止める義務がある。例え凶暴な人喰い鬼であったとしても、やはり人間だったのだ。死ななくちゃいけない理由なんてあるはずがない。

そしてヒーローは過去を見せられ(・・・・・・・)思い知るのだ。

鬼殺隊とは、鬼とは、個性発現前の時代とは。

全てが、悲劇の塊であったことを。

.