恋をしないと、良い歌は歌えない。3【登坂広臣】

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広臣side









結局、2時間くらいで事情聴取的なものは終わって


疲れた様子だったAは病室に戻ると




俺の手を握ったまま眠ってしまった







運よく、A達がいたホテルは



俺のマンションのすぐ近くだったらしくて





Aは猛ダッシュで俺の部屋まできたらしい








途中、




怖いのか、悔しいのか



今みたいに俺の右手を強く握って話していた









看護師「すいません...そろそろ、面会時間が」




「あ、はい」








なんだかんだ、眠っているAの横にいたのはかれこれ1時間




ずっとこのままでいたいけど



そういうわけにも行かない





明日はヒロさんのご厚意でオフになったから



退院するAのそばにいるつもり






また、何かに巻き込まれたりしたら大変だし









強く握られた手を、Aが起きないように離して




紙に書置きしてから



Aの額にキスしてから病室を出た








・







・







・






・







病院に来た時は、まだ夕方だったのに



今はもう真っ暗。





てか、面会時間とっくの前に過ぎてんじゃん


俺...病院側にそうとう迷惑かけてたやつ




まぁ、いいか









病院の敷地を出ると、道路を挟んだ向こう側に小さな公園がある




外灯の光で微かに見える人影



2,3人いるうちの1人が、俺の存在に気づいて



こちらに向かって手を振っていた








でも...顔よく見えねぇし


変なやつだったら嫌だな






よし、ここは無視だ。無視。









そう言い聞かせて家路につこうとすると



震えた俺の携帯







するとそこには、"隆二"の文字があって



受話器ボタンを押した









「もしもし、どした？」




隆二『どした、じゃない!!

　なんで無視すんだよ!!ひどい!!』









....は？

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