ミルクティー (ページ9)

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ep.7 ページ9

「....」

わたしの手を掴んでズンズン進む蛍

明らかに不機嫌。怒ってる

「ね、蛍ちょっと、いたい..!」

知らない男の人に声をかけられてそのまま車に乗ろうとしたわたし。
蛍の登場に、今まで困り顔でいい人そうだったその人は急に態度を変えてそのまま車で走り去ってしまった

ピタリと蛍の足が止まる

「蛍、あの、」

蛍「..っ、ハァ」

びくりと体が反応する。怒った蛍は誰よりも怖いって知ってるから

蛍「なんで一人だったの」

「な、んでって..今日クラス当番だったから、帰り遅くなっちゃって...それで、」

蛍「そうじゃなくて!
この時間に帰ってるのなんて別にいいんだよ。なんで彼氏と一緒じゃないのって聞いてんの」

心配してくれてるんだ
蛍は淡白そうだけど、本当はそういう人

でもこんなに怒らなくたって..

蛍「大体、今時ケータイ持ってて駅の場所分かんないなんてありえないし、平日のこの時間にこんなとこでフラフラして女子高生に話しかけてる男の人なんて怪しいに決まってるでしょ

車乗せようとしてくるところも怪しすぎ」

「..ごめんなさい、わたしまさか自分がそんな人に話しかけられるなんて思ってなかったから...」

髪の毛をわしゃわしゃと手で乱して、また大きくため息をつく。

蛍「で、彼氏は?」

蛍の真っ直ぐな目と質問から逃げられるはずもなく。

蛍と登下校一緒にしなくなってから、佐々木くんに一緒に登下校しようって提案したけど断られたこと

それから毎日ずっと一人で登下校してたこと

ついでに佐々木くんは付き合ってから一度も遊びに出かけてくれないこと

全部話した

話し合える頃には、蛍の怒りの矛先は行き場を失っていた

蛍「なんで言わないの..」

「だってあんな一方的に一人で登下校始めちゃったじゃん、蛍。
しかもわたしに気遣ってくれたんでしょ?言えないよ..」

蛍「..そうかもだけど。」

またため息をつく。これはきっと蛍自身に向けて。

蛍「..とにかく今日は僕がたまたま部活終わり通りかかってよかった」

「うん、ありがとう。助かった」

蛍「でももっとAも危機意識持ちなよ。温室育ちか」

ぽすっ、とわたしの頭に蛍の大きな手が乗る

「蛍、あの」

蛍「ん、何?」

「明日から..、」

蛍「朝またいつもの時間、ね。」