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改めてマンホール蓋を引き上げて、ビニールを取り外す。
中を開けば折られた紙が入っていて、その紙は誰かの記した宝の地図のようなものだった。
一緒に覗き込んでいたAは眉を顰め考えるような仕草をしていて、何か知っているのかと声をかける。
「……信じるか？これ」
『英敏が信じるなら信じるよ』
今のこいつに何聞いても意味ないのだと悟り、溜息を吐きながら紙をポケットに仕舞う。
その様子を大人しく見ていたAは立ち上がり、俺の手を引いて歩き出す。
『手、洗おうね』
「普通はどんな君も綺麗だ、とか言うもんじゃないのか」
『流石に目の前で汚いマンホール触ってるのは見逃せないや』
「素直な奴…」
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「鬼河原の部屋、見たことあるか」
『英敏から回収したお宝堪能してるよ』
「……いや、それは今いいんだが」
『ええ？今でも取り返したいと思ってるんでしょ？俺がいるのに』
だから今それはいいと言ったのに。
いるかいらないかで言えば必要不可欠なお宝コレクションだが、Aの前でそれを楽しむほど馬鹿ではない。
変に拗ねる前に話を戻さないと面倒なことになる。
「あいつの部屋に釣り道具あるよな」
『うん。あの人釣り好きだからね。説教されるとき、よくシュミの話振って逃げるし』
「A…お前多分この学校で一番不真面目な生徒だぞ」
『褒めてる？』
「呆れてる」
鬼河原からの呼び出し回数は俺らの学年で一番多いだろう。
問題児といえば間違いではないが、家柄のことで色々言われてたのだとAは言っていた。
こいつはいい意味で人間に興味がないし、だからこそ人伝に言いふらしもしない。
自分の威厳を残したまま趣味の話をする相手にちょうどよかったのかもしれないな。
『英敏だって授業態度良くないじゃない』
「俺のことずっと見てるお前よりは授業内容を把握してる」
『牧が言ってたけど、最近俺のこと描いてるらしいね？』
「は、」
もしこれが授業中などであれば、俺は持ち手に力が入り芯を折っていただろう。
自分の部屋に戻っていてよかった。あのまま洗濯場で話していたら余計な人間に聞かれていたかもしれないし。
はあ、顔が熱い。
図星も図星の反応を隠せなかった時点でAの顔が見れなくなった。
口を緩ませて笑っているに違いない、あとで牧もまとめて殴ってやる。
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yechung(プロフ) - とても素敵な作品でした。ありがとうこざいましたm(_ _)m (2023年2月6日 16時) (
レス) @page29 id: 2db2bfccf5 (このIDを非表示/違反報告)
ぼあ(プロフ) - 最終話楽しみに待ってます！ (2022年12月24日 12時) (レス) @page24 id: 6c4e658584 (このIDを非表示/違反報告)
古川(プロフ) - 定期的に読み返して楽しんでいます。最近はお忙しいのでしょうか？気長に更新待っています。 (2022年7月13日 22時) (レス) id: 4b5ae5c210 (このIDを非表示/違反報告)
yechung(プロフ) - 移行してたのに今日気づきました( ﾟдﾟ)更新ありがとうございます。毎回とても面白いです。 (2022年5月11日 6時) (レス) @page15 id: a7fc5954a6 (このIDを非表示/違反報告)
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