◆熱と看病と ページ21
※2014〜15年あたり
※西畑side
これは俺が軽く風邪を引いた日のことだ。
炬燵で寝たのが原因か、はたまた外で菌でも貰ってしまったのか。
症状は軽かったから寝てれば治ると思ってその日は大人しく休んだ。
・
・
・
深く眠って、少し意識が浮上してきた頃にひんやりとした感覚。
母親が看病してくれてるところかもしれないと、ありがとうと言うと自分の声がカスカスなことに驚いた。喉が渇いていると気付くのがワンテンポ遅れて、脳がまだちゃんと動いていないのだとぼんやり感じる。
『喉渇いたん？』
「うん…」
ちょっと待っててな、と立ち上がって部屋を出ていく気配。
そこは準備しといてくれんと…と思うが看病されてる身で言えることじゃない。
にしても耳の調子がおかしいのか、母の声がいつもと違うように聞こえる。
耳が詰まってるのか確認できるほど身体の調子は良くないようで、思っていたより風邪の症状は酷くなっているようだ。
自分の状態を頭で理解すると自覚症状が生まれ身体が重くなって、頭も痛くて、寒い。
軽いと思っていた風邪は全くと言っていいほど軽くはなく、すっかり病人になっていた。
『寝たままじゃ飲めへんやろ。起きれるか？』
声を出すのも億劫で首を振って応える。
すると俺の背中にしっかりとした腕が回ってきて、ぎゅっと抱きかかえられるように起こされる。
ドキリとした。この感触は絶対に母のものではなくて。
『口開けんと飲まれへんよ』
兄でも、父でもない。
詰まってる鼻でもわかるふわりと匂う甘い香り、心地の良い声に意識が一気に覚醒し、無理やり目をこじ開けた。
「な、なんでおんの…」
濡れ羽色の髪から覗く澄んだ瞳と視線が交わった。
目が合えばいつも俺に微笑むその顔は、今日は心配そうに眉が下がっている。
気付けば俺よりも背も伸び大きくなった身体で簡単に俺を支える腕から感じる体温が、元々熱い温度を更に底上げする。背中の汗は気持ち悪くないだろうかと不安になった。
『西畑が心配だから押し掛けちゃった』
「…アホやないの」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 618人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「Aぇ!group」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
舞茸 - 初めまして！一気に読んでしまいました…！すごく面白いです！もしよかったら主人公が鬼レンチャンのカラオケに出たら…というお話が読みたいです（ ; ; ）続編楽しみにしてます、よろしくお願いします！ (2021年12月31日 4時) (
レス) @page50 id: 91d1601611 (このIDを非表示/違反報告)
のんのん(プロフ) - 今日めっちゃ更新あって嬉しいです！メンズ校の方も更新待ってます！ (2021年12月25日 21時) (レス) @page48 id: dcdd46bcaa (このIDを非表示/違反報告)
yechung(プロフ) - みやにし大好き過ぎて、こっちもあっちも何回も読み返して楽しんでいます。 (2021年12月24日 16時) (レス) id: a7fc5954a6 (このIDを非表示/違反報告)
のんのん(プロフ) - みやにしも好きなんだけど、みやこじもみやすえも好きになっちゃう！続き楽しみにしてます！ (2021年12月23日 21時) (レス) id: dcdd46bcaa (このIDを非表示/違反報告)
もぶ(プロフ) - アヤカさん» ありがとうございます！！みやにしをよろしくお願いいたします〜！ (2021年12月10日 15時) (レス) id: 03de132077 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
