【メンズ校】Amour à l’infini【男主】 (ページ9)

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目が覚めたらそこに野上はいなくて。
俺に布団がかかってる上に律儀に"浴室に行く"と書き置きまでしてある。

『そういうところが好きなんだよねえ…』

叩き起こしてもいいのに、あのあとずっと寝かせといてくれたみたい。
俺が一人風呂が好きなの知ってたからかな？関係なさそう。

こんな時間に熟睡するなんて久しぶり。
野上がいたから安心したのかな…そうに違いない。

　

綺麗な書き文字を指でなぞり折れないように懐に仕舞う。
もちろん保管する。バレたらまた気持ち悪いって言われるだろうけど。

ベッドから立ち上がり丁寧にベッドメイキングを施す。
シーツまできっちりとさせとけばあとで文句は言われないだろうから。

　

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ワンチャン、ラッキースケベでもしてやろうと浴室に向かうとする。
まあ俺、野上と裸の付き合いしたことないけど。

廊下を歩いていると男2人組が他者から本を取り上げようとしてるところが見える。
あーあ…ただでさえ豚箱にいるのに倫理観まで死んじゃって。

いじめってストレスの多い環境によって発生しやすいからここじゃ仕方ないのかな。

自己肯定感の薄さから起こる承認欲求の捌け口を他者へと向けるから、八つ当たりに自己防衛、他者を貶めて自尊感情を維持したりするんだ。生理的現象、といえばそれまで。

観衆や傍観者に徹するべきだろうけど、他の奴らと同じになるのも嫌だし。
あれらが標的にしてるのは…運が悪いことに顔見知りだし。

『アンチヒーローのほうが好みなんだけど』

　

偽善が趣味なわけじゃないのに、俺は他者に手を差し伸べようとしている。俺も野上に感化されてるのかな。

それは誰に言うわけでもなく吐き出された。