【メンズ校】Amour à l’infini【男主】 (ページ6)

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「聞いた俺が馬鹿だった」

野上が呆れて帰ろうとするから、その腕を掴んでソフトに壁に追いやる。

所謂壁ドン。ほら、野上の感情が呆れから緊張に変わった。
掴んだ腕から感じる鼓動がドクドクと速くなっていく。

『野上…心拍数上がったみたいだけど、牧主税にもこれだったの？』
「ち、ちがう」
『じゃあなんで今はこうなのかな？』
「急に、壁に押し付けるからびっくりしただけだ」

あはは。野上ってやっぱ可愛い。
女好きで、エロガキなのに。こんなにもピュアな人、この歳でなかなかいないよ？

顔を近付けただけで緊張しちゃう野上も、耳が仄かに赤くなる野上も…全部期待しちゃう。
期待するだけ傷付くのは自分なのに、なんでいつもこうしちゃうのかな。

さっきの野上と牧主税よりも近い距離で見つめると、すっと視線を逸らされる。
逸らした視線をまた捉えると、じわりと目に潤いが出てくる。

緊張でどうしたらいいかわからなくなると涙が出そうになるなんて、女の子みたいだね。

でも俺はそれを望んでないよ、野上。

『ごめん。意地悪が過ぎたね』
「、あ…」

距離を置いて、掴んでいた腕を緩める。
だからさ、野上…そういう期待してた〜みたいな顔されると俺本当に困っちゃう。

俺をどうしたいのさ、野上は。

『ちょっと跡付いちゃったね、ごめんなさい』
「ただの血行不良だ。気にするな」

切り替えのはやい野上に安堵する。
俺が平然を装った所為もあるけど、あのままか弱い姿見せられてたら俺もどうにかなっちゃいそうだったし。

『野上』
「なんだ？」
『好きだよ』
「またそれか。諦めの悪いやつ」

そう、そうやっていつも通り逸らかして遇ってくれればいい。
まだ俺は野上に、本当のこと言える勇気と自信がないから。