【メンズ校】Amour à l’infini【男主】 (ページ46)

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神木side ページ46

姉ちゃんが島に来た。
結婚する前に、俺との仲を少しでも修復するために。

血の繋がりのない再婚同士の姉弟関係。
大切な人。好きだった人。

そんな姉ちゃんが結婚するらしい。

　

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逃げるように外に出て、漫歩していた時だった。
海岸沿いのコンクリートブロックにポツンと置いてある靴が目に入る。

ご丁寧に靴下まで折り込んであるその靴は、手入れがされているのか場所に似合わない綺麗な状態で。
見たことがある気もする、そのローファーは、そうだ。

「宣杜のじゃん」

宣杜A。クラスメイトで頭のいい奴。

寮でも学校でも人目を引くのに、誰も近付けない雰囲気を持ってる。教室、右を向けば視界に入るくらいで今まで直接絡みがあったわけじゃない。

お前らとは生きる世界が違う、みたいな無感情な顔をしているのに野上といる時だけはキラキラとしていると知ったのは、偶然で、意外だった。

絡めば思いの外感受性があって、やっとダチになれて嬉しかった。
俺のこと知らなかったのは結構ショックだったけど！

　

あいつにも海で遊ぶ感覚があるんだな、と思って周りを見渡す。
その辺にいる様子はなくて目を凝らすと海に浮かぶ人影。

見つけた瞬間駆け出していて、バシャバシャと海に入っていく。

ご丁寧に靴を置いて海に入るなんてサスペンスで見るやつじゃん！
宣杜に何があったか知らないけど、ダチが死のうとしてるのは見逃せないって！

「宣杜！おい！宣杜！」

叫びながら近付いてるのにこっちを向く気配はなくて。
気付かないなんておかしいじゃん、宣杜本当に死んじゃうかも。

冷静になれば浮いてる時点で肺の中の空気は存在してるのだけど、今の俺の判断能力は落ちていて。

宣杜の身体を引き寄せるとようやく宣杜がこっちを見た。
こんなに近くにいるのも、視線が交わるのも初めてだ。

その瞳は吸い込まれそうなくらい澄んでいて、何もかも見透かされそうな水晶みたい。

「お前死ぬことないだろ！」
『え？…え？何？』
「何って…死のうとしたんじゃ」
『何の話？』