【メンズ校】Amour à l’infini【男主】 (ページ44)

今日:23 hit、昨日:18 hit、合計:50,971 hit

5-1 ページ44

最近、睡眠の質が良くない。
あの日からだ、あの日悪い予感がしてから日に日に眠りが浅くなってく。

睡眠の質はストレスによって自律神経のバランスが崩れ落ちていくと言われている。
日中は野上に触れて一時的に復調するものの、一人になると無意識に憂虞しダメになっているのだろう。とんだ重い人間になってしまった、原因も解決策も全部野上だなんて。

だから今日も野上のところにいようと思ったのに、寮にはいなかった。

そこはかとなく嫌な予感がする。なんだか頭も痛くなってきた。
野上がどこで何してようが自由だし、俺だって好きに生きてるけど…いつもなんだかんだ近くにいたから違和感ばかり。

外か、学校のほうに行ったのか。
…保健室、あんなところに行ってないといいけど。

　

コンコンと部屋の扉が叩かれる。
こんなご丁寧に鳴らすのは野上じゃあない。そう思っていると扉の向こうから牧主税の声がした。

返事のかわりに扉を開けると、びっくりした顔をして立っている。
急に扉が開いて驚いたんだろう、呼んだのはそっちなのに。

「宣杜のところにもいない…か」
『…野上？』
「ああ、うん。俺に飯当番押し付けてどっか行ったんだよね」

　

・

・

・

　

「本当にいいの？」
『ええ、大丈夫です』

礼儀なんて放棄して退室し背を向けたまま後ろ手で扉を閉める。
職員室は勝手な期待を押し付けてくるから息がしにくい。

暑い、首元を煽ぐとぶちりと変な音がして第二ボタンが取れてしまった。そんなに力を入れたつもりはなかったが、元々糸でも緩んでいたのか。

不吉な前兆、よくないサインのようで。

職員室で用を済ませたあとでよかったかもしれない。帰ったら縫おう。
こんな時に俺のためにボタンをつけてくれる相手でもいれば幸せなのに。

…野上は、不器用そうだからつけるの下手そう。

　