【メンズ校】Amour à l’infini【男主】 (ページ37)

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神木と源田が住んでいる部屋は非常に臭い。
うるさい先輩によるとゴキブリが出るらしい。つい最近うるさいほど聞かされ、流石にドン引きしたので記憶に残っている。

花井の横にでも座ろうとしたら、野上が俺の手を引いたので野上の隣に座った。
こんなに近くにいるのに野上の説明が何も耳に入ってこない。
右から左へ通り抜ける。こんなことあってはいけないのに、俺の調子が悪い。

この前の嫌な予感が未だに消え去らない。ぐるぐると俺のドス黒い部分で残り続ける。

野上「ーーー結果383本となる。以上だ、質問は？あるか？ないな？以上！…少しは掃除しろ！センサーが狂う！」

あのあと別に何かが起きたわけじゃない。

女子の吐き出した二酸化炭素の香りが、と花井曰く"最高にキモい発言"を野上がしていたことは聞いた。
この学校にいるはずのない存在。長すぎた女子不在でセンサーの狂いが生じたとかなんとか。

男しかいない環境だから余裕があったけど、いざ野上に女の影チラつかされたら泣く自信がある。
思ってるより傷付くと思うし、引きずる。

俺は野上の幸せを願えるほど心は広くない、俺のこと見ていてほしいし俺のことを好きになってほしい。叶うはずのない俺の小さな希望。3年間だけは壊されずに済むと思っていたのに。

野上「おい」
『…』
野上「宣杜」
『……』
野上「宣杜A！」
『え、あ、はい！』

ぼーっとしてたみたいで、野上の呼びかけに気付けなかった。失態。

声のほうを向けばキスする5秒前かってくらい顔が近くて、つい後ろ手をつく。
それでも野上は退こうとしないから、簡単に揺らぐ俺の感情はドキドキと高鳴っていた。

野上「熱でもあるのか？」
『へ？なんで？』
野上「お前が俺の呼びかけに返事をしないというのは今までなかったからな」

何その理屈、と牧主税が呟いてるのが聞こえる。
周りの声が聞こえ始めるくらいには冷静さを取り戻したみたいだ。

『ちょっと考え事、してただけ』
野上「ふうん…ほら、行くぞ」

なんで、という言葉を言いかけてやめる。
ここで野上の手を取らなかったら心も体も離れてしまう気がしたから。