【メンズ校】Amour à l’infini【男主】 (ページ30)

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俺は苦労したか・してないかで言えば、表向きは順風満帆で内面で苦労していたタイプだ。

人とは違うからといって虐められたことも、疎外されたこともない。
早いうちから人と「違う」ことを理解したからかもしれない。

人の機嫌を伺って、愛想を良くして、良い子を作り上げるのは簡単だった。隠すことを覚えた俺は、自分の中に存在する違和感を抑えつける人生で。

その過程で自身がホモセクシュアリティだと理解し始めて、余計自分を隠すしかなくなった。

　

少し脱線。
話を戻すと、俺は花井の過去までには寄り添えないということだ。
虐められた過去も、それによって自身を曝け出せないことも俺は経験したことがない。

やっぱり似たようで違うんだと、思う。

　

朝イチで呼び出されてみれば不審物が見つかったとか、それが花井の私物だったとか、花井がようやくあいつらに秘密を打ち明けたとか色々あった。

食堂で野上が花井を助けたところを見て、野上はやっぱりヒーロみたいだなって思った。
俺のことも救ってくれたけど、それは俺が勝手に救われてるだけ。

フリルやレース、女が好きそうな、可愛いものが好きな花井。
堂々と好きなものを好きと言いたかったのに、引かれたくない、嫌われたくないって自分を隠して我慢して。

偉いなって思った。俺はそんなに周りに気を遣えない。
好きなものを好きと言って、好きに生きる。
誰かの言いなりになんてならない、野上がいるから生きようとする。

　

野上も、他の奴らも俺が同性愛者であろうと引きはしないだろう。嫌いもしない、わかりきっている。

でも言わないのは言っても言わなくても現状が変わらないとわかっているからだ。
俺は野上が好きな気持ちを我慢してないし、そっちの人間だと隠すことに罪の意識もない。

そう、自身は偽ってないのだ。俺は俺、野上が好きなだけの男。
俺にとって性的嗜好なんて、悩みにするのも馬鹿らしいくらいどうでもいいこと。

良いか悪いかを判断するのは自分自身、そんな相手といるかどうか判断するのも自分自身。
だから俺は自分で、言わなくていい、余計なことは言わないと判断した。それだけ。

　
　

…俺にはもっとたくさん秘密が、言わなくていいと切り捨てていることがある。
3年間だけはそれを捨てたまま、アオハルってやつを謳歌させてくれと…願うのは"自由"だ。