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部屋を出る野上についてったけど、AVがどうなろうと俺には関係ないので途中で別れる。
ぼーっとしてたら背中に衝撃が走って、振り返ると花井衛がいた。
「あ…！ごめん！」
『別に』
思い悩んでる顔は、さっきの件か…はたまた別の何かか。
『花井衛には共有し難い秘密がある』
「…え」
『俺にも、秘密はある』
「宣杜くん…？」
『人と違うことに思い悩む必要はない』
個人的に踏み込むつもりはなかったが、共に野上に加担してる身としては突き放す理由もなくなった。
この男は今後も野上の作戦には必要なんだろうし。
俺の言葉をゆっくり噛み砕いて、理解したのか先程までの暗さが消えた。
意外と利口な男だ。好感が持てる。
「…宣杜くんは、なんだか安心する」
『へえ』
「多分ね、僕のこと否定しないんだろうなって」
『なんでそう思う？』
「宣杜くんって本当にのがみんのこと好きでしょ」
『好きだよ』
即答すると、花井衛は驚きながらも納得したように笑った。
ああ、この男は気付いていたのか。
バレてないという確信を持ったことはなかったが、俺が感じたんだから向こうだって感じ取る可能性は高い。
「本当はもっと早く宣杜くんと話してみたかったんだ。近いところにいた気がしてたから」
『…結構、前から気付いてたんだな』
「宣杜くんもでしょ」
『まあな』
互いに確信付いたことは口にしない。
言葉にしなくても理解しあえてしまった俺たちの秘密。
今まで感じていた壁がなくなったのか、ニコニコと俺のほうを見てくる。なんだろう。
「のりりんって呼んでいい？」
『…否定しても呼ぶんだろ』
「うん！のりりんも今度からフルネーム呼びやめてよね」
『そうする』
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