【メンズ校】Amour à l’infini【男主】 (ページ19)

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野上side ページ19

作戦実行中、牧と校門前で待機していた時だった。

『あれ？お前ら脱走したんじゃないの』

呑気な顔で宣杜Aが話しかけてきたのは。

　

牧「え？なんでいんの？」
『こっちの台詞なんだけど』

学校から出てきたと推察される宣杜の手には角形2号封筒。
また教師に呼ばれたのだろう。
最近、こいつがよく呼び出されているのを見かけるから。

宣杜は牧と話していながらも意識は俺に向いている。
この男は出会った時から俺に執着しているのだから仕方がない。慣れたものだ。

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この学校に進学する前の話だ。
変哲もない通学路で急に声をかけてきた変な男。
それが宣杜A。

"君ってどの学校行くの"

縋るように腕を掴んできたくせに、生きている感覚がない顔をして。
知らない人間に個人情報を晒す義理はないのに、俺はその学校名を口にした。

名前も言わない失礼な奴だった。
妙に整っていた顔が忘れられなくて、入学時にはすぐにわかった。

最初の試験で俺と僅差で2位にいたのを確認して宣杜の能力を知ることになる。
その次も2位にいたそいつの狙ったかのような点数に少し怖くなった。

普段はつまらなそうに生きてる宣杜。
俺を見つけるたび、目が合うたび、あいつは幸せそうに笑う。
俺以外の前で表情を崩したのを見たことがない。

最初は付き纏われて鬱陶しかったが、宣杜は必要以上に踏み込んではこなかった。
だから放っておいた。突き放すよりも楽だったから。

俺に付き纏う理由は聞いたことない。
聞くだけ無駄だと思ったし、相手にする必要がないと思ったから。

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『野上が制服じゃないからフェリー乗れなかったんでしょ』
野上「うるさい」
『似合ってる。かっこいいね』

俺の私服なんて飽きるほど見てるくせに。
脚が綺麗だとしゃがみだしたので、気持ち悪くて足蹴りしてやった。

　

宣杜が隣にいないと調子が狂うなんて、今の俺に自覚症状などあるわけがない。
そばにいろと俺が縋りつくのは、もっと先の話。