【メンズ校】Amour à l’infini【男主】 (ページ17)

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牧side ページ17

「お！宣杜ぉ～！元気してるか！？」

まただ。
また藤木先輩が宣杜に絡んでる。

いつも無視されても折れないハートはなんなんだろう。
先輩風吹かして独りに見える宣杜に優しくしてるだけなのかな。

見えてないフリ(本当に見えてないだけかも)で歩いてる宣杜の横をずっと喋りながら歩いている藤木先輩も、まあまあ変な人だ。

…そして。
そんな2人を見て機嫌が悪そうになる野上も、変。

さっきまでみんなで作戦会議してたのに、藤木先輩の声が聞こえた途端無口になって。
神木も源田も花井も、みんな藤木先輩に注目している。

宣杜はいつも独りでいるのに、存在感が人一倍ある。
ぼっちだから浮いてるとかじゃなくて、独自のカリスマ性…？みたいなやつ。

ちょっと羨ましいような、そうでもないような。

神木「藤木先輩、無視されてるの気付かないのかな」
花井「いつもあんな感じだよね」
神木「宣杜にあんな態度取られたら普通折れるでしょ」
源田「たしかに」

今だって宣杜のほうを見てるから野上は会話に参加してない。
いつもの達者な口が閉ざされている。

宣杜の友達が自分だけだと思ってるからなのか知らないけど、野上はいつも宣杜のことを見てる。
俺も最近気付いたし、他のみんなは多分…気付いてない。

この前宣杜が花井のことを助けた時だって、ポーカーフェイスが崩れていた。
ありえない…って顔して、見てた。

野上のいう「俺にしか興味ないと思ってた」というのは、俺も同意見。
まあその発言を自分で言ってたのはちょっと引いたけど。

　

鬼河原「宣杜」
藤木「鬼河原先生！」
『…はい』

そこに鬼河原がやってきて、宣杜よりも先に藤木先輩が返事している。
またみんな、宣杜のほうに注目していた。

鬼河原「あとで職員室に来い。話がある」
『ここじゃダメなことですか』
鬼河原「それはお前のためにならん」
『…わかりました。行きます』

鬼河原の言ったことに反抗しかけたのはヒヤッとしたけど、ここで話せないことってなんだろう。
さすがに説教とかそういうのじゃないと思うけど、藤木先輩もわからなそうだから本当に重要な話なのかも。

野上「……ふん」

野上を見ると考え込んでいた。
やっぱり宣杜のことが気になるんだ。

いつも宣杜に絡まれて嫌がってるのに、素直になれてないだけなんだな。
野上にも人間みたいな不完全さがあってなんか安心した。