【メンズ校】Amour à l’infini【男主】 (ページ14)

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「……ない」
『ん？』
「女や官能に興味はあっても、過去にそのような事例はない」
『え』
「馬鹿にするならしろ」

いつもの真面目な顔で言うから一瞬理解できなかった。
野上って本当に童貞なんだ。

へえ…そう。
あんなに女体を描いたり、AV集めてんのに…ないんだ。

女の経験、触ったことも…ないんだ。
手繋いだことないって相当じゃん。

『俺が初めてなんだ』
「うるさいな。男はノーカンに決まってるだろ」
『やーだ。俺が最初』
「ノーカンだ」

可愛いな野上。
そりゃあ手汗もかくよね。初めてだもんね。

男相手だから冷静なんだろうけど、緊張はするらしい。
俺だから緊張してる…だったら、嬉しいのに。

「お前はあるのか」
『へ？』
「お前モテそうだし、女の経験もあるんじゃないか」

野上には俺が女の扱いに慣れてるように見えるらしい。
それはまあ、都合がいい解釈だけど…癪だなあ。

童貞ではないけど、女遊びをしていた事実もない。
恋愛対象が異性だったらよかったこともたくさんあった。

女慣れというより、処世術…なんだよなあ。

『野上よりは大人だよ』

そう言ってから野上の頬にキスをして手を離す。
驚いて固まった野上を置いて、その場を去る。

ただスキンシップが多い男だって思ってくれてるといいな。
本当のことなんて教えてあげない。

もっと俺に興味持ってくれたら、いつかは秘密を共有してあげる。

　

そんな日なんて、来るわけないのに。