【メンズ校】Amour à l’infini【男主】 (ページ13)

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『野上ってばヒーローみたい』
「…宣杜。いたのか」

花井衛や牧主税が教師に尋問されてる時に助け舟を出す野上は優しい。
貸しとか言って、恩を押し付けてたけど。

蛍光塗料、役に立ってよかったね。
いいところだけ持っていって、本当にヒーローみたい。俺とは違う。

『野上、手出して』
「？なんだ」

不思議そうに出された右の手を自分の手で絡め取る。
所謂恋人繋ぎ。

さっきあんなのに触れたんだから、上書きしないと。

『手小さいね』
「いちいち一言余計だ」
『嫌なら振りほどけばいいんだよ』

緩く握ってる手が振りほどかれることはなく、ピクリともしない。
力を入れて握ったら、じわりと手汗が沁みついた。

『緊張してる？』
「してない」
『そんなにプリプリ怒らないでよ』
「気持ち悪い擬音を俺に使うな！」

野上も手汗かくんだな。人間味を感じてとても良い。

俺が手を握った意味を理解してるのかしてないのか。
大人しく握られてる野上は可愛い。

俺がさっきしたことを怒ってないのかな。
気持ち悪いとも思ってないなら、野上も相当俺のこと好きだね。

『野上はいつも女とこうやって手を繋いでた？』

疚しい気持ちが、変な問いを生み出す。
こんなこと聞いても俺が傷付くだけなのに。

何やってんだか。