【メンズ校】Amour à l’infini【男主】 (ページ12)

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髪はある程度乾いたけどまだ野上が起きる様子はない。
…起きないし勝手にオイルつけちゃおう。

愛用してるアウトバストリートメントを手に馴染ませて野上の髪に触れる。
俺の匂いが染みついたみたいで普段隠してる欲が満たされる気がした。

手持ち無沙汰になって後ろから野上を抱きかかえる。
ぎゅっとしたり首に顔を埋めても文句が飛んでこない、新鮮。

俺よりも細くて小さい体は、簡単に包まれてしまう。やっぱり愛おしい。
頭から同じ匂いがしても首元はやっぱり野上の匂いがしてなんか興奮した。

『お預け食らってるみたいだなあ』

あの野上が無防備に俺の腕の中で寝てるのに、手を出すことができない。

そもそも野上は俺の"好き"を恋愛感情だと思っていないだろう。
その原因は俺達が同性であることに加え、俺のステータスである無関心によるものなのだが。

物事に興味ない俺が唯一野上にだけ関心があったら、好きと言っても人間愛と捉えるだろう。
頭の良い野上だからこそ余計、恋愛的思考にならないだけかもだけど。

　

そろそろ起こして部屋に帰さないと教師が徘徊する時間になる。

起こさずに抱えて部屋に行くと野上に怒られそうだし、牧主税にこんな可愛い野上を見せるのが勿体ない。

怒られるのを覚悟で、俺は野上の耳に齧り付いた。
危機感がない野上にちょっとだけお灸だよ。

「ん、ぁ…？」
『野上～そろそろ起きて』

ふっと息を吹きかけると脳が覚醒した野上が飛び起きた。

「ヒッッ…お前何してるんだ！」
『おはよう。感じた？』
「そうじゃない！もっとまともな起こし方出来ないのか！？」
『野上の耳美味しそうだなって』
「お前！本当に！調子に乗るなよ！」

捨て台詞のように叫びながら部屋を出ていった野上。
隣の扉が強引に開閉する音と、心配した牧主税が八つ当たりされてるのが聞こえる。

最近の野上は俺に対して気を許しすぎてるからこれくらいしないと、俺がダメになる。
荒療治すぎたかもしれないけど、許してほしい。

少し突き放されてるくらいがちょうどいい。
今以上を期待して、後悔するのは嫌だから。

　

『俺は本気で野上のことが好きだよ』

何も希望がない人生の唯一の光だった。
いつから追いかけてるかなんて野上は知らないし、俺も言うつもりはない。

とりあえず、眼鏡返しに行こ。