【メンズ校】Amour à l’infini【男主】 (ページ11)

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お邪魔虫は退散しまーす…と逃げる牧主税を追う者はこの場にはいない。
気を遣うことに気遣ってる男ってこういう時に役に立つんだな。

『その他と同列になりたくなかっただけ』
野上「…そうか。熱があるわけじゃないんだな」
『俺だってちゃんと自我あるんだからね』

言葉を足さずとも理解してくれる野上は本当にやりやすい。
俺の本性には気付かないところがまた、愛おしい。
野上も人間なんだなって思うし、俺の心にまだ触れなくていいから。

お風呂上がりのしっとりした野上の髪に触れても何も言われない。
ちゃんと乾かさないと風邪引いちゃうよ。

『髪、乾かしてあげよっか』
野上「………たまには、お前に付き合うのも悪くない」

最近の素直な野上は可愛すぎるなあ。

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誰かを寮の自室に入れるのは初めてだと、野上を招いてから気付いた。
今まで通い妻のように隣の部屋に常駐してたから意識してなかったのもある。

「お前の部屋…何もないな」
『ミニマリストってやつだよ』
「無頓着なだけだろ」
『そうともいう』

野上をベッドに座らせ、後ろにそのまま座り込む。
丁寧にタオルで水分を抜いていく。

『別にわざわざ俺の部屋に来なくてもよかったのに』
「お前に世話されてるところなんて誰にも見られたくない」
『でも俺には世話されたい。我儘な王様だ』

摩擦が起きないように丁寧に包んで、髪を押さえる。
きっと野上は乱雑に拭いているに違いない。
若いうちからちゃんと髪を労わらないとすぐ禿げちゃうよ。

ゆっくりと乾かしてるからか、ふらりと野上の背中が俺の身体に寄りかかる。

『眠い？』
「別に」
『目閉じてていいよ。ドライヤー使えないから不便だよねえ…ここ』

返事がないから会話は続かない。
髪濡らしたまま寝るなんてご法度だけど、疲れてるなら仕方ない。

俺に寄りかかったまま仮眠を取る野上の眼鏡を優しく取って机に置く。
このままタオルドライするのはやりにくいから手間だけど、寝顔可愛いからいいや。

野上は睫毛が長い。
前から長いなとは思ってたけど、こんなに長かったんだ。
いつもが眼鏡だし間近で見るなんてなかったからなんか特別感。