【メンズ校】Amour à l’infini【男主】 (ページ2)

今日:30 hit、昨日:18 hit、合計:50,978 hit

1-1 ページ2

授業は退屈だ。

「今週もうテスト出るから。次」

教師の授業は全部雑音に聞こえる。
ぐちゃぐちゃと耳に入ってきて鬱陶しい。
板書をするチョークの削れる音の方がよっぽど綺麗だ。

体裁だけでもと紙に鉛筆で文字を書くのも面倒で、ノートは白紙。
窓を眺めれる位置でもないし、必死に食らいつこうとしているクラスメイトを見て、滑稽さに笑う。

「ついてこれてますか？こんなところで躓いてたら東大なんて夢のまた夢」

ついてこれてるか、なんて問いも無視。
声を出すだけ無駄。

ドンッと斜め前で机に定規を叩きつける音が鳴り響く。煩い。

「今油断した人、必ず落ちまーす」

モルモット、監獄、刑務所、牢屋敷、実験体、囚徒、拘置所、囚獄、受刑者。

どれも当てはまる、豚箱みたいな学校。

それでも俺がこの場にいるのはただひとつ。
前の席の人間が、野上英敏が、ここにいるからだ。

細く白い肌に茶色髪、綺麗な瞳に層を施す眼鏡。
後ろからでも解る完成された姿容。

教師が音を鳴らしたおかげで見えた凛とした横顔に、このつまらない時間も幸福に変換される。

『横顔…綺麗だね』

囁きは喧騒に紛れるが、きっと野上には届いているだろう。