なにわの白②【男主】 (ページ45)

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◆朱に交われば赤くなるページ45

※似元同士続き

スタッフやマネージャーとの話を済ませ、部屋に戻るところで前を歩く小さな姿。
ブロンドベージュのストレートの髪が蛍光灯によって明るく見える。衣装が俺とは異なるからわかるけど、違う衣装ならパっと見で後姿が大吾に似ているなと感じた。俺は絶対間違えないけど。

『誠也』
末澤「うわっ…急に後ろから声かけんなや」
『肩に手置かなかっただけ優しさやん…嫌がられて悲しい。泣いちゃう』
末澤「うっさいねん！」
『誠也のほうがうるさいよ』

廊下に通る高い声は、突き刺すように響く。
ちょっと拗ねたような仕草をする誠也が可愛くて、後ろから抱き着いた。

末澤「ちょっお前…なんなん急に」
『可愛いから、つい』
末澤「なんやそれ」

俺が抱き着いても歩き続けるから、ずるずると引きずられる形になる。
重いとぼやきつつ剥がそうとしないのは優しさなのか、めんどくさいだけなのか。

末澤「最近、休めてんの」
『え？』
末澤「ずっと出ずっぱりやん。無理したらあかんで」
『ありがとう、せーちゃん。俺は大丈夫』

まだ、という言葉を飲み込むがどうせバレているだろう。
無理はしてないが、ここ最近休みという休みがないのも確かで。辛いわけじゃないし楽しいけど、こうやって人肌を感じて安心することで心のバランスを保ってるのかもしれない。

末澤「Aは良くも悪くも飲み込まれやすいから、人前に出すぎて自我見失う前に休みや」
『うん。ちゃんと自分のケアはしてる』
末澤「出来とるつもりなだけやろ。最近ひとりになると真顔になりすぎ」
『そんなことないと思うけど』
末澤「なにわがお前に遠慮して言わんから、俺が言っとんねん」

自分の疲れに気付かないほど、追い込まれてただろうか。
おそらく違う。誠也だから気付けた、前兆のようなものなのだろう。病気も早期発見が良いというが、心のケアも早いほうが精神的な病も防げるのかも。わからないけど。

誠也の優しさに包まれて、少し心が軽くなる。
俺はまだ、グループに本質的な部分で溶け込めてないのも知っているのだろう。

末澤「大吾や丈に言えんことは俺に言いや」
『大吾が可愛くて辛いーって話は？』
末澤「一生口聞かん」