なにわの白②【男主】 (ページ5)

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どうやら黒のまま赤にしたらしい。それでトーンも暗いのか。
色々考えて染めたんだろうけど、どうせ言わないんだろうな。

赤い髪はとても似合ってる。こんなにも赤が似合う男はそうはいない。
やはり大吾は最初から、なるべくしてここに立っている気がする。
オレンジだった男は赤の似合う男にちゃんと変わっていて、置いてかれそうで、ちょっとの焦燥感。

『俺も白にしたろかな』

ふと出た言葉に自分でも驚いた。
俺も髪を染めるタイプだが、白にしようなんて思ったことはなく。
大吾にあわせて自分の色を身に着けようとでもしたのか、心の中で苦笑い。

大吾に圧し掛かるものを少しでも和らげたくて
考える前に行動してしまう、ちょっとした病気。癖。

黙っている大吾に申し訳なくなってきて、頬を掻いた。

『なんちゃって…大人しくこのままでいます』
「そんなんまたファン増える…」
『え？なんか言うた？』

ようやく口を開きボソッと吐き出された大吾の言葉を汲み取れず。
聞きとらない俺が10悪いが、もう一度言ってもらえるようお願いする。

「絶対かっこいいから見たい言いました！」

背を向けていた大吾が勢いよく振り返って大声を出した。
お前が似合わん色なんてない！かっこええしなんでも似合うねんと次々に捲し立てられる。

そんな大吾に頬が緩まないなんてのは無理で、アホと結構強めにどつかれた。
俺がいてて…と患部を擦ると大きな溜息が聞こえる。怒ってはないっぽい。

「真っ白にすんの？」
『ん。でもはやくて月末とかかな…撮影あるし』
「Aが白にしたときは俺も明るい色にしよかな」
『あはは。紅白でみんなを驚かせよ』
「紅白饅頭差し入れにしたりな」

　

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「今日泊まるやろ」
『そのつもりで呼ばれたと思ってたし』
「調子がいいやつ」
『大吾に呼ばれて追い返されたことないもん』
「へーへーそうですか」

染めたての髪の毛の隙間から見える耳がほんのり赤い。
大人になっても変わらない可愛い反応が嬉しくて
また俺は抱き着き、怒られるのだった。