なにわの白②【男主】 (ページ4)

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◆赤と白ページ4

"仕事終わったら家来て"

仕事終わりに確認したメール。
自粛期間というものを味わってから大吾の誘いが強引になった気がする。
壁がなくなったみたいで嬉しい気持ちと、よっぽど会えなかったのが堪えたんだろうなという感想。

仕事がない限り大吾の誘いを断らない俺相手でも、それ以前は気を遣いつつ誘いの連絡が来ていたような。
まあそんなことは今となってはどうでもよくて。

終わったので向かいます、と癖になった文字での他人行儀感。
歌詞を綴るのは得意だが、プライベートなブログとかメールはどうも苦手だ。
電話のほうが楽…というか、好きというか。
こういうところが古典的で時代に取り残される要因なんだろうな。

すぐに既読がつき"待ってる"と返ってきた。
スマホでも凝視してたかのようなスピードにちょっと驚いた。

　

家についてドアを開けた大吾はフードを被っていた。可愛い。
自分が贈ったものを愛用してくれるのは嬉しくて、ドアが閉まったところで思わず抱きしめた。

「えっちょ、」
『ただいま』
「…おかえり。お疲れ様」

仕方ないなと諦めた感じで抱きしめ返してくるが、本当は嬉しいこともバレている。
ここ数年で本当に大吾は素直で可愛くなった。
非常に幸福たるものだ。

抱きしめた衝動でフードが外れたのか、視界に入る赤。
二度瞬きして視界にちゃんと入れる。

『髪染めた？』
「……もっと溜めて言いたかったんに」

肌白い大吾にはとても合っていて、まるで絵本の中の王子様だ。
茶髪も金髪も似合っていたしその完成度に納得した。黒髪も可愛いけど。

染めたてなんだろう髪を触り、しばらく堪能する。

『似合ってる。かっこいい』
「……よかった。とりあえずAに見せよ思って」
『わざわざメールくれたんや』

嬉しいな、そう言いながらまた髪に触れると気恥ずかしそうにする。
逸らされた目を追って目を合わせるとふいっと体ごと逃げられた。