なにわの白②【男主】 (ページ23)

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長尾は元気な末っ子ページ23

「Aくん！聞いてくださいよ！さっき…」
「Aくん！みっちーが…」
「Aくん！」

最近、長尾がすごく元気だ。バグったのかってくらい元気。
外で遊んで帰ってきた子供のようにうるさいし、やたらとこっちに来る。

『道枝とまた喧嘩したのか』
長尾「どう思います！？俺悪ないっすよね！！！」
『なんもわからん』

　

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というのを大西に相談した。
こういう時は大西に聞くのが一番はやい。

大西「ミヤくんさ、この前けんとに誕プレあげたやろ？」
『毎年渡してんで。わざわざ電話で御礼くれたし』
大西「その日からあんなやで」
『なんで？』
大西「それは俺から言うことやないわ」

大西に突き放されてしまった以上、この疑問が解決されることはない。
別にそんな特別なものを渡したつもりもないし、全くわからん。

そんな俺を見兼ねた大西が溜息を吐いてから口を開く。

大西「俺からするとやっとかーって感じ」
『なにが？』
大西「ん－…謙杜の自立？」
『？』
大西「ミヤくんにはわからんかもね。今頃大ちゃんは悔しがってるよ」

なんだか楽しそうな大西は頑張れ～と言って去っていった。
取り残された俺は、柔らかいソファの背もたれに深く沈んだ。

　

少しするとドタドタと聞こえる足音。

「Aくん！こんなところにおった！」
『…長尾か。道枝と仲直り出来た？』
「間を取って唐揚げになったよ！」
『マジでなにで喧嘩しとったん自分ら』

えへへーと笑いながら俺の隣にくっつくように座る。

そういやこれも最近だけど、長尾もやけに俺にも甘えたになった気がする。
いやもともと末っ子気質なんだけど…なんだろう、言葉にするのが難しい。

「Aくんはたこ焼きとお好み焼きどっちが好きっすか？」
『えー…きんつばかな』
「それスイーツやん！話聞いてます！？」

近くで聞かされる馬鹿煩い長尾の声はかなり耳へのダメージがある。
元気な末っ子が暴れる前に、餌付けして俺への意識を逸らさせた。

長尾が元気そうなのはいい。申し訳ないがこれを1人で相手するにはかなり体力を使う。

まだまだ俺は長尾のことがわかってないのだろうか。
それもそうか、育ち盛りの子供は大人の知らないところで日々成長している。

　

そう考えたら可愛くなってきた俺もかなり親馬鹿気質なんだろうけど。