なにわの白③【男主】 (ページ44)

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馬脚を現すページ44

※正門side
※思想やばめ

　

間宮Aは、みんなのアイドルだ。
かっこよくて、踊れて、歌える。欠点のない理想のアイドル。
みんなが尊敬する輝かしい人。

そんな彼は何年も先輩で、同い年。
誕生日は俺の方がはやいからちょっとだけ年上期間があったりする。

　

多分俺は関西Jr.の中で、Aとは普通の距離感に見えているだろう。

接点がなくて他人みたいだったし、同期である大吾や廉が仲良かったから延長線上で知り合いみたいな感じ。先輩後輩ではあるけど、そこまでのエピソードはなかった。

　

俺が入所した時からみんなAのことが好きだった。
友愛、家族愛、恋愛。
同期も、後輩もどんどん彼に惹かれていった。

だから怖いなって思ってた、あそこに近付いたら自分が自分でなくなりそうだった。

　

Aは大吾のことが好きだ。
大吾もまた、Aのことが好き。

恋を自覚する前から、大吾は気が付くとAの話をしていた。
本人は気付いてないだろうけど、大吾は自覚がないだけで最初から彼に気が合ったと思う。
嫌いって言いながらずっと見てたし、無意識に目で追ってるのはクロだろ。

だから俺はAとの接点はないが、Aのことをよく知っていた。
おおかたは大吾の主観だけど、あいつの惚気は聞く分にはまあ面白かったから。

青春してるなって思ったし、同期が楽しそうで俺も嬉しかった。
話を聞いてるだけで俺も青春を味わってる気分にもなって、楽しくもあった。

　

そんな俺にも転機が訪れる。

初めて俺自身が間宮Aに興味を惹かれたのは、彼のギターを見たときだ。
知らなかった、あそこまで楽器が弾けるなんて。

コンサートでソロがあったAが、ギターをかき鳴らして歌っていた。
アイドルのパフォーマンスなのにロックシンガーみたいでかっこよかった。

全てを置いていくような演奏で、アイドルらしからぬ歌声だった。
なのに間宮Aはどこまでもアイドルだった。

キラキラしてるアイドルのまま、生きていた。

　

楽器に触れあってるAが大好きだった。

俺は邪道的に間宮Aのファンになってしまったのかもしれない。
誰にも言わずにいたけれど、彼と初めてセッションをしたときに隠すのをやめた。