なにわの白③【男主】 (ページ27)

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三人寄ればなんとやらページ27

※第三者視点

陽が落ちると一気に冷え込むこの季節。
外は冷えるなと楽屋に戻った長尾は、先に戻っていた椅子に座る間宮の姿を見かけると飛びつくように駆け寄って声をかける。

長尾「Aくん！」

思ったような反応がなく、寝てるのかなと正面まで回るとなんだか苦しそうな間宮。
長尾は大きく目を見開いてしゃがみこみながら間宮に声をかける。

長尾「Aくんどうしたん！？」
『………………うるさ…』

なんとか返ってきた声はか細くて、長尾は更に不安になる。
触れている膝が熱い。…熱い？

長尾はそっと間宮のおでこに触れるとかなり熱くて、びっくりして手を離す。
思わずAくんが死んじゃう！！！！！！！！と騒ぎ立てる。

そんな長尾にまた意識が浮上した間宮がぼそぼそと喋り出した。

『軽い熱。寝たら治る…うつるとあかんから、離れとき』

こんな時にまで相手の心配をする間宮に長尾は怒りたくなった。
自身の心配をしてないことも、自分のことを頼ってくれないことも。

軽い熱なんていうが、軽かったらこんなしんどそうにしない。
酷く熱いおでこに触れた時の感覚が未だに手の平に残っている。

　

デビューが決まってから更に忙しくなった間宮の個人仕事は、間宮の休息を減らしていたのだろう。
間宮の体調管理は基本的にしっかりしているが、されど人間。体調を崩すこともあるし、多少の体調不良ならステージに上がることは関西の中では有名だ。
足を挫いただけでは歩みを止めないし、高熱があっても休まなかった。

自粛期間などが挟まってからは一時的に落ち着いたにしろ、今はとても大事な時期。
精神的にも間宮は疲弊していって、弱っていたのだろう。

　

「長尾…にAくん？どうしたの？」
長尾「みっちー！Aくんこのままじゃ死んじゃう！！！」
道枝「…え！？」

語弊はあるが緊急的なことだと道枝は瞬時に判断する。
ソファーに横たわり、ブランケットと長尾の私物である衣類で覆われた間宮は苦しそうで。
顔にはびちゃびちゃのタオルが乗せられているし、部屋はかなり荒れていて。

どきりと、道枝にも焦燥感が襲い掛かる。