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『お前から見て、俺はどう見える』
「……自由な人」
『言い方を変えよう。俺は正常な異性愛者に見えるか？』
「外見だけだと、そう思ってた」
『でも今は、そう見えない』
"正常な"と皮肉めいた言い方に少しカチンと来たのはどうしてだろう。
個を尊重する宣杜が、自分のことだけは卑下するからだろうか。
宣杜が同性愛者だと知っても、変だとは思わなかった。
人とは違うと思って生きていたと知ってもなお、宣杜は自由に見えた。
俺とは違って、意見を持っているから。
俺なんかより茨の道を生きてるのにしっかりと前を見ているから、尊敬していたんだ。
そう、それは野上も同じだ。
だから宣杜と野上が一緒になることに違和感はなくて。
………ああ、そっか。
羨ましかったんだ、ふたりが。
・
・
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「ねえ。エゴ押し付けてたって…何？」
「……さっき、似てる人がいたらどうするって話したでしょ」
「もしかして…」
「俺を見る目がエリカと一緒だったんだ」
それだけ。
それだけなのに、俺は宣杜を通して、エリカを見ていたんだ。
エリカは俺がどうすればいいか、答えを教えてくれるような気がしてたから。
もういないのに、いつまでも縋っていた。
返せない、なんて言っていつか返せると思っていた答えの見つからない本を。
「友達のこと、友達だと思ってなかったんだ」
「？」
「なのにあいつは、」
俺の背中を押してくれた。
俺が野上と生きる世界が違うと言っても、冷静に諭してくれた。
自分の隠したい部分を引き合いにしてまで、少し不器用な部分を伺える人間味のある優しさ。
「俺のこと普通に呼んでくれなかったのは、俺がエリカしか見てなかったからなんだね」
空気に溶けるくらい小さな声は誰にも届くことはなく。
ずっと野上と同室だから当たりが強いと思っていた。
もちろんそれもあるだろうけど…牧主税、というカテゴリーから変われなかったのは俺の所為だった。
次会ったときに宣杜に謝ろう。
野上にも、みんなにも。
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再構想を数回したので更新が遅くなりました、ごめんなさい
牧くんのお話は過去と現在がごちゃごちゃしています
彼の宣杜くんへの感がどういう形なのか、想像が膨らみますね
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