【メンズ校】Amour à l’infini ③【男主】 (ページ18)

今日:4 hit、昨日:9 hit、合計:49,913 hit

・ページ18

神木には様子を窺う牧と花井が見えていたのだ。

直接彼らが付き合ってるなどは聞いていない、というか誰も口にしないし本人たちも隠してはないけど言ってもない態度なので触れられてないだけ。
昔からの知り合いだと思っていたくらい、付き合ってようが付き合ってなかろうがふたりは前からイチャコラしている。

そんなふたりを見てヤキモキしてるのは外野のほう。
黙ってられない、そんな花井たちを見てれば自ずと自分も応援してあげようという気持ちにはなる。

神木はどこまでも優しい男だった。
そこにある寂しさを無視して、またこの男は相手の幸せを願おうとしている。

　

神木「野上はいつになったらAのこと名前で呼ぶんだよ」
野上「お前には関係ない」
神木「Aだって野上に呼ばれたいだろうに。なあ？」
『まあ…でも野上に強要はしないさ』

自分もそうだが、別に呼び方に特別感情を抱いたことはない。
宣杜のそういうところがふたりの恋人らしさを更に遠退けているのだが、本人が気付くはずもなく。

野上は名前で呼びたい気持ちがあったりなかったり。
牧に言われたからでも、神木が呼んでいるからでもない。

"宣杜"という名字も本来の名字もどちらも宣杜Aを表すものではあるが、宣杜自身はどちらも好いてはないように見える。
ただ跡取り息子であることがバレるのが面倒だから生み親の旧姓を使っているだけであって、その宣杜という名前にも特別な感情はないのだ。

だから唯一揺らぐことのない"A"という名前を呼んであげたいと、野上は思っている。
名字で呼びたくない、ちゃんと彼自身の名を言葉にしたいと考えていた。