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好きになった相手が何者だろうが好きになったなら仕方ない。
宣杜だってたまたま俺のことが、
…………
――ああ、そうか。
あいつが付き合うことに後ろめたかった理由を、ようやく理解した。
花井がどんな人柄であるかを誰よりも早く気付いてたのはあいつだ。
あの男が自分から顔を突っ込むのを見たのはそれが初めてだったから。
今思うとあいつの本質察知能力は、そういうことか。
付き合うまでの宣杜があんなにも自由でアプローチが激しかったのは、友情の裏に本当の感情を隠していたから。傍から見てもただじゃれあっているように見えるからだ。
それなのに告白したあと不自然さが目立ったのは、本当に自分でいいのかと不安だったからだろう。
緊張と不安が見え隠れしていたのが珍しいと思ったが、あれは単に恋愛ごとに慣れてない純粋さじゃない。
自分の性質が、俺にとって負担になるんじゃないかと考えてのこと。
女を毛嫌いする理由は、単なる嫉妬じゃない。
恐れていたのか、自分はやはり他とは違う異質さがあると。
野上「言っても言わなくても変わらない…か」
それくらい俺もあいつらも簡単に受け入れる、と理解してこその黙秘。
そうやって言い訳して、逃げていただけ。
宣杜Aはやはり馬鹿でアホ。でもそんなあいつが、好き。
野上「恋人同士って何すればいいんだ」
牧「無理に変えるものでもないんじゃない？」
野上「それもそうだが…」
牧「でもふたりってなんか、友達の延長って感じするよね」
野上「……」
牧「あ、違う！そう！あの、なんだろう！違う！」
野上「何も変わってないなとは思っていたが、牧に言われると腹立つな」
牧「あー！そう！呼び方とか、変えてみたら！？」
野上「？」
牧「神木が名前で呼んでるの嫌そうだったじゃん？野上も名前で呼べばいいのにって思って！」
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