18羽 ページ20
12月24日…
師走くんのお誕生日も過ぎて
クリスマス・イブ。
「はぁ…」
外は冷たく、吐いた息が白くなって消える。
「(師走くんと会って、もう7ヶ月かぁ…
早いなぁ…)」
長いようで、短かった7ヶ月。
寂しくて、色が無かった世界は色付いて、
眩しくなった。
これも全部、師走くんのおかげ。
「好き、なのかな…」
八重さんは(時々だけど)優しい目付きになる。
それは恋してるからだと聞いた。
恋とはいつの間にか落ちているもので、
気付いたらその人を追っているものだと言っていた。
きっと…
「私も、そうなのかな…」
そうだと、嬉しいな。
そう思いに更けていると、
“真弥ー！！”と明るい声が鼓膜を揺らした。
「師走くん」
「遅れてごめーん！！
信号に全部引っかかって…ってうわー！！？」
「あ…」
ツルッと音を立てて
師走くんは張っていた氷に足を滑らせ、
盛大に転ぶ。
「ふふっ、大丈夫？」
“いったー！！”と叫ぶ師走くんに手を差し伸べれば
素直に握り返して、立ち上がってくれる。
「師走くんのアンラ、久しぶりに見た」
「あ、はは…相変わらずだけどね…
真弥は？元気してた？」
「うん。妖館も楽しいし、
学校でもね、友達ができたの」
「そうなんだ！良かったね！
あ、そうだ！聞いてよ、真弥！」
私たちは今まで会えなかった時間を埋めるように、話す。
そうしている間に胸がポカポカする。
やっぱり、師走くんといるのは楽しい。
気付けば夕方になっていて、
別れの時間が迫っていた。
「それでね！
____あ…もう夕方…」
「うん…そろそろ帰らないと」
「あ！待って！
これ！受け取って！」
「？」
師走くんから渡されたのは小さな包み。
綺麗に包装されてる…
「ちょっと早いけど誕生日おめでとう！
と、メリークリスマス！」
「！」
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