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「わぁー!今日の事務所、なんだかすごく綺麗ですねー。」
午後4時過ぎ。学校から直接やって来たモブが開口一番に感嘆の声をあげた。
「お、モブ 来たか。つーかお前 挨拶ぐらいしろよなー。」
「す、すみません師匠。これ全部 師匠が掃除したんですか?」
「いや、アイツ。」
指で示した先には観葉植物の手入れをしているしょうこ。働く代わりに除霊しない―そう約束した今朝からずっとああやって動き回ってくれている。
「あ、昨日の。掃除できるんですね。」
「掃除だけじゃないぞー。おーい、しょうこ!休憩だ、茶を入れてくれ。」
「(コクリ)」
頷きながら彼女は給湯室へと消えていった。
「僕まだ来たばっかりなんですけど。」
「いーのいーの。俺が疲れたから休憩なの。」
しばらくして目の前のテーブル置かれたお茶とたこ焼き。心なしかいつもより美味そうだ。
「いただきます。」
「いただきまーす。…しょうこ、お前も休憩していいぞ。」
さすがに可哀想になって休むように促すと、彼女はちょうど空いていたモブの横のソファに腰掛けた。
「…お前、たこ焼きとか食えんの?あ、モブ 俺の分まで食べんなよ。」
「(フルフル)」
「ふみまへんひひょう。」
「ちゃんと飲み込んでから喋れ。」
「すみません師匠。」
「まぁしょうこは幽霊だもんなー、飯とか食えないのか。」
「はい…私は、ほかの幽霊や悪霊を食べて生きてます。」
「ふーん…ほかの幽霊や悪霊ねぇ…」
ほかの幽霊や悪霊を食べる。それってつまり―
「共喰いですね。」
「おい、バッカ モブ!!そんなストレートに言うやつがいるかよ!幽霊にも色々あるんだよ。な?しょうこ?」
「いえ、その通りだと思います。そのせいで一部の霊からは怖がられてるんです。」
ふふ、と微笑みながらとんでもないことを言い放った彼女。エクボの言った通りだとは認めたくないが、コイツ なかなかに悪どいかもしれない。
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作者名:遅筆の月空 | 作成日時:2019年11月28日 7時