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『ただいまより、
第○○回 中学生女子陸上大会を開催いたします』
中学に入って初の大会。
1年生にてレギュラーを勝ち取ったあたし、鎌足切那は大会の会場へと足を踏み入れた。
「鎌足切那ー……ファイ！！」
「「「オー！！！」」」
先輩や同級生の声援に少し照れを覚える。
けれど、それを振り切るように深呼吸して
スタートラインに立つ。
「位置について……」
審判の一声であたしを含むランナーがグッと構える。
「よーい…」
パンッ！！
銃声が鳴り響き、走り出す。
「っ」
ーーーーーーーーーーーー
「女子の大会が終わったら男子の大会だ。
それまでにアップしとけよ」
「「「はいっ！！」」」
中学になって初めての大会。
レギュラーには選ばれなかったけど、
先輩たちを応援する為に会場にやってきた。
「(うわー…スゴイ歓声…)」
会場から聞こえる女子の応援に、
先輩たちから“○○女子中が出てんのか…”と話していた。
「○○女子中…？」
「あー、一年はあまり知らないか。
そこは陸上の強豪で日本のトップを競うっつー学校だ。」
「噂によれば、今年は一年でレギュラーに選ばれた子がいるんだってよ！」
“しかも超可愛い子！！”と興奮気味に話す先輩を他所に、俺は驚いた。一年で強豪のレギュラーに選ばれるなんて……
「鎌足切那ー……ファイ！！」
「「「オー！！！」」」
「あ、あの子だ！
一年の鎌足切那ちゃん！
うっひょー！やっぱ可愛いな！」
先輩の目線の先には、
綺麗な茶髪を二つに縛った可愛らしい女の子。
「っ！！」
その可愛らしさとは反対に、
走り方は豪快で、それでいて綺麗だった。
「(風…)」
それはまるで風のようだと、
ボーッと見つめていると一瞬だけどその子と目があった。
「！！」
ドクン
その時の胸の高鳴りは気づかず、
俺は彼女の走りに見とれていた。
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