17m ページ20
「切那」
「ん?」
あたしたちにしては珍しく、
歩いてランニングのルートを辿る。
あたしの心配事も
全て受け入れてくれた郁だけど、
今度は郁が心配事を言う番らしい。
ふふっ、なんだか不安そう。
「……俺、男らしいかな…」
「男らしいよ。
あたしの全てを受け入れてくれた、
お母さんに立ち向かってくれた男前。」
「……俺、普通の家の生まれだよ」
「羨ましいな…
普通に愛されてたんだよね。
愛情一杯で…素敵なご家族なんだろうね」
「……俺、切那に見合ってるかな」
「それは……正直わからない。
でも、あたしを受け入れてくれた郁は、
間違いなく、あたしの自慢の彼氏さんだよ。」
“カッコよくて、勇敢で、
ちょっとヘタレな彼氏さん”
そう付け加えれば、困ったように笑った。
何も心配しなくていい。
一癖も二癖も強いって自覚済みのあたしを、
こうして愛してくれる。
それだけで、あたしは幸せなの。
「俺、頑張って
切那とお似合いになれるような男になるよ」
「えー、今のままでいいよ。
ちょっとヘタレの方が可愛げあるよ」
「男に可愛げあったらダメだろ!?
俺はいつだって切那にカッコいいって思われたいの!」
「……頑張って。
(そう言う時点でカッコいいって思うけどな…
はぁ、あたし、可愛くなれるかな)」
付き合ってまだ半日も経たないあたしたちだけど、
こんなにも好きが溢れてる。
恋を知れば、人は変わるって
誰かが言ってたけど…本当に変わるんだね…
自分が自分じゃなくなるみたいで怖いけど、
……彼が側にいるなら…怖くない…なんてね。
「郁」
「ん?」
「これから、よろしくね」
「うん。こちらこそ」
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