15m ページ18
「郁!?
なんで、ここに!?」
「はぁ、はぁ…!
切那のこと、心配で…!!
着いて、来たんだ…!」
あの時の切那の表情は真剣だったけど、
その瞳は揺らいでいて、何かを恐れているようで心配した。
その勘は当たっていて、
切那の家であろうこの屋敷から聞こえた
切那の心からの叫び。
「約束を破ってごめん。
でも、来て正解だった。
……はじめまして。
神無月郁です。」
「……あなたが、切那を唆したのね」
「!唆された覚えはない。
あたしは自分で_____
「切那」
!郁…」
「…ごめん。
切那のお母さん。
切那を俺に下さい」
「「「!!?」」」
俺の一言でお母さんも切那も、
周りにいた女の人たちも驚き
ザワザワとしだした。
自分でも何を言ってるのかと思う。
でも、切那が親から愛を貰ってないことを
一片でも知っちゃったら……
「俺が、切那を愛します。
あなたが家のためと切那を縛りつけたのも
愛の一部かもしれない。
でも!それは切那が望む幸せじゃない!
だから、だから俺が!切那を幸せにします!」
「…さっきから、何をふざけたことを…
切那は鎌足家の正当な後継者。
どこの馬の骨かもわからない方に、切那は渡せないわ。」
「……切那が、カマイタチなのと、
何か関係があるんですか」
「!切那、言ったのね…!?」
「…話をつけた後、言うつもりだったけど…
今言うよ。
郁。
この鎌足家には鎌鼬の血が流れているの。」
「カマイタチの、血?」
「そう。
鎌足家の先祖が妖怪・鎌鼬と混じり合って、
この鎌足家ができた。
その妖怪との子供…つまり、
鎌足家の始祖の先祖返りが、このあたし。」
「先祖返り…」
「そう。
始祖と同じ時間、同じ場所、
同じ性質を持って生まれた先祖返り。
先祖返りには始祖の再来とし
始祖と同じ名前がつけられ、
敬い、称えられる。
そうすれば家が豊かになると言われていたから。
だからこうして、縛られているの。
……全ては、鎌足家の後続と幸せの為。」
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