14m ページ17
「わか…った。
放課後に、ここに来る。」
真剣な表情でそう答えた郁にほっとしつつも、
どこか恐れている自分がいる。
郁と別れた後、
あたしは学校…ではなく、
鎌足家に向かった。
「お母様！！！」
「っ！？
切那！？あ、あなた、学校は！？」
「それよりも大事なことがあるので
サボります！！」
「さぼっ…！！
あなた、鎌足家の先祖返りという自覚が…
「あるからここに来ました！！」
はぁ？」
「お母様！
あたし、お付き合いする人ができました！」
「なっ！！？
お付き合い！？
あなた、何を言っているの！？」
あー…やっぱり驚くよね…
っていうか、すっごい怒ってる…
めんどくさっ
「お付き合いする人ができたので！
あたしはこの家を出ます！！」
でも一応先祖返りだし…
ちゃんと報告しないとね。
家が荒れてもしょうがないし。
「許さないわよ。
あなたは一生この家にいて貰います。
お付き合いする…それは遊びなら許しますが…
真剣なら許しません。
あなたには、鎌足の正当な後継者を残すために
こちらで決めた方と婚約、結婚してもらいます」
「だからこの家を出ます。
あたしは決められた婚約なんて、したくない！」
「どこまでも我儘な…！
切那！いい加減にしなさい！
「いい加減にするのはお母様の方でしょ！？」
なっ！？」
「あたしはあなたの娘！
顔は似てなくても血は繋がってる！
なら！少しは…っ少しはあたしの幸せを願ってよ！！」
「かっ、考えてるわよ！
この家に私は…！！」
「違う！
お母様の考える幸せはあたしの幸せじゃないっ！
こんな縛られた生活なんて、
もう懲り懲りだよ！！」
先祖返りは孤独だ。
家を栄えさせるために先祖返りを孤独にする。
本当の家族とは切り離され
上辺だけの虚無な愛を向けられる。
だから、本当の愛を向けられたら
それを追わざるを得ないのよ。
「っ…きり…
「切那！！！」
！？」
「！？郁…！？」
あの人が何か言おうとした時、
バンッ！！と扉が開いて、
息を切らした郁が現れた。
「なっ、なんで、ここに…」
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