13m ページ16
「「……」」
沈黙
俺たちが黙ったことで、
風の音だけが良く聞こえた。
でも、呆然と見つめ合っていると、
俺たちは徐々に顔を真っ赤にしていった。
「い、郁…今…」
「あ、……お、俺…今……」
いっ、言っちゃった…?
もしかして、俺…好きって、言っちゃった…??
「あっ、ああああ…!!
き、切那!!忘れて!!今の無し!!」
「え!?無しにするの!?」
「だって!!あんなの、何もカッコよくないし!
俺は…俺は、もっと、カッコよく…
って!何言ってんだ…!!」
「郁にカッコよさ求めてないけど!?」
「そっ、それはそれで酷い!!」
「酷いも何も!!
あたしは、そんな郁が好きなのに!!
……あっ……」
はっと切那は口を抑える。
…え?本当に…?
「き、切那…」
「っ……あーっ!!もうっ!!
腹括るよ!!
神無月郁!あたしは君の事が好きだよ!
一緒に走ってる時も、普通に喋ってる時も、
君との時間は心地良いよ!大好きだよ!!」
「っ!!
……切那。俺も、鎌足切那が好きだよ。
君が走って起こす風も好き。
君が喋って作る空気も好き。
うるるさんが君をカッコいいって言う理由もわかる」
「っ!!?!
急に男前になるのやめてよね…って…
うるる!?なんで、郁が雨を知ってるの!?」
“だってあの子は…”とぶつぶつ呟く切那に
俺は先日のことを話した。
雨の日に切那に会いに行った俺の前に
うるるが現れたこと。
そのうるるが話したことを全部。
すると、切那は驚いたように目を見開いて
でもすぐに目を伏せた。
「カマイタチ…
あの子は本当に言ったんだね」
「え?うん。
切那はカマイタチだって。
でもそれってカマイタチのように速いってこと、だよね?」
「……」
「切那?」
「……ん…郁、
あたしの事、好きって言ったね?」
「え?ああ。言った。」
「なら、放課後。」
「?」
「放課後。ここに来て。
ちょうど日が沈む、6時頃。
郁が本当にあたしの事が好きなら、
その時間に、ここに来て。」
「わか…った。
放課後に、ここに来る。」
「待ってる」
9人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ