検索窓
今日:7 hit、昨日:8 hit、合計:3,999 hit

8 ページ8





「それ以上はオーバーワークだよ、染岡」
「A、お前まだ帰ってなかったのかよ」


辺りはもう既に日が暮れ始め、赤く染まっている。染岡はみんなが帰った後も1人で必死に特訓していたのだろう、全身汗だくで息も上がっている。俺はきっとそうだと思い持ってきた、タオルを手渡した。


「悪い」
「身体を壊したら元も子もないよ」
「……これじゃあアイツに敵わない。豪炎寺には負けたくないんだ」
「染岡……」


染岡は俺が想像していた以上に焦っているんだ。こんな無茶な特訓をする程に。
練習を再開しようとする染岡の腕を掴み、慌てて引き留める。これ以上は冗談抜きに身体を壊しかねない。


「こんなんじゃダメなんだ! 1年にだって当てにされない、ストライカー失格だ」
「少なくとも、俺は染岡を雷門のエースストライカーだと思ってるよ。この間だって、染岡が真っ先に俺を助けてくれた」
「それはお前が……」
「俺は期待してるんだよ。豪炎寺くんにじゃない、染岡に」
「A……」


豪炎寺くんのシュートが凄かったのは事実だが、染岡はずっと一緒にやってきた仲間だ。他の選手たちよりも贔屓目で見てしまうのも致し方ない。

染岡はAの言葉に照れたように頬を掻く。どうやら自信を取り戻したようだ。


「お前の期待を裏切らないようにしなきゃな。よし、豪炎寺よりも強力なシュートを打ってやる! そうとなったら特訓だ!」
「だから今日はもうダメだって!」


調子を取り戻してくれたのはいいが、言う事を聞いてくれないのは困る。無理やり身体を引っ張り、河川敷のグラウンドから連れ出す。染岡に「意外と力が強い」と文句を言われるが、聞こえないフリをした。

9→←7



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (10 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
21人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

むた(プロフ) - 星猫さん» 評価ありがとうございます! とても励みになります。 (2021年9月7日 17時) (レス) id: 43b2fdf14a (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - もう一つのpcがしました。初めまして!とっても素敵です!高評価しました! (2021年9月7日 13時) (レス) id: 7d3fe1e696 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:むた | 作成日時:2021年9月2日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。