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擬音ばかりな秘伝書を理解出来た豪炎寺くん曰く、あれは2人で行う必殺技で、1人がジャンプした上をさらにもう1人が踏み台にして跳び、オーバーヘッドキック。
その通りならば1人目、つまり踏み台になる選手は1番体格がしっかりした壁山くん。2人目は不安定な足場からオーバーヘッドキックが決められそうな豪炎寺くん。
豪炎寺くんは兎も角、不安が顔にまで表れている壁山くんが心配だけど。
2人は別々に練習をし、それぞれの役割に見合った能力を身に付けてもらう。壁山くんはジャンプ力を、豪炎寺くんはバランス力を。
今までとは違った特訓に思い通りいっていない様子だったが、遅くまで諦めず頑張っていたおかげか、2人とも功を成した。
いざ、2人合わせてみよう。といったところで、新たな問題が発生してしまった。
「高い所ダメなんス、怖いんス……」
「壁山くんってもしかして、高所恐怖症？」
壁山くんがジャンプするまではいいが、下を見た時にあまりの高さに怖気付いてしまい、バランスを崩して落ちてしまった。また、そんな足場で跳べる筈もなく、豪炎寺くんもシュートを打つことができない。
イナズマ落としを打つのに致命的な弱点を直す為、早速高さに慣れる練習が始まるが、高所恐怖症は伊達ではなく思った以上に苦戦してしまう。
みんなの期待に応えられなく、弱気になってしまう壁山くん。
「俺なんかが出来る訳ないっス！」
「そんなことない。俺だけじゃなくて、みんな壁山くんが適任だと思ってるよ」
「俺、Aさんが羨ましいっス」
「どうして？」
「キャプテンやみんなから頼られて、俺みたいな怖がりでもないし」
そう言って下を向く。
俺からしてみれば壁山くんのほうが何倍もみんなの役に立ってるし、頼られてる。俺とは違ってチームの一員だし、サッカーだって上手だ。でも、きっとそんなのはないものねだりで。
「俺は壁山くんのサッカー好きだよ。だから自信持って」
「Aさん…… Aさんも一緒にプレーしてほしいっス！ そうしたら心強いのに」
「ありがと、でも俺にそんな技量ないよ。さ、みんな待ってるから行こう？」
「うぅ……」
ダンゴムシのように丸まっている壁山くんを押していく。
高所恐怖症を克服するのは簡単じゃないけど、きっと壁山くんなら出来る。そんな気がしていた。
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むた(プロフ) - 星猫さん» 評価ありがとうございます！ とても励みになります。 (2021年9月7日 17時) (
レス) id: 43b2fdf14a (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - もう一つのｐｃがしました。初めまして！とっても素敵です！高評価しました！ (2021年9月7日 13時) (レス) id: 7d3fe1e696 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：むた | 作成日時：2021年9月2日 18時
