13 ページ13
・
後半戦を雷門のキックオフで迎える。尾刈斗中とは1点差、守曰くボールを積極的にフォワードへ回してシュートチャンスを増やす作戦らしい。ところが豪炎寺くんは染岡ではなく、後ろにいた少林にパスを出した。きっと豪炎寺くんは無闇矢鱈と攻める前に、シュートが効かなくなった原因を探りたいんだ。
しかし、その行動を不審に思ったのか少林からボールを受けた半田はノーマークの豪炎寺くんではなく、2人もマークが付いている染岡にパスをする。だがそれは当然、相手選手にカットされてしまった。1年生たちは判断を誤ったと半田に詰め寄る。ああ、もうバラバラだ。
「まずいよ、チームの輪が乱れてきてる」
「きっと染岡くんのシュートが決まらないから、1年生たちは豪炎寺くん頼りなのよ。でも染岡くんや半田くんは豪炎寺くんを信じきれてない」
「このままじゃ相手の思うツボだ」
またしても染岡か豪炎寺くんか、どちらにパスを出すかで争っている。更には豪炎寺くんのボールを染岡が無理やり奪った。味方同士でやり合ってどうするんだよ、ばか。
染岡は今度こそとドラゴンクラッシュを撃つが、前半戦同様に止められてしまった。ショックを受けている染岡だが、落ち込んでいる暇はない。監督の「ゴーストロックだ!」という合図によって攻め込まれてしまう。そして再び監督の不気味な呪文が始まった。みんなの身体が動かなくなり、ガラ空きのゴールにシュートが打ち込まれようとしている。
あの監督が呪文を唱えてから可笑しな事が起こった、ということは、あの呪文に何か秘密が……?
「まーれ、まーれ、まれとまれ……」
「Aくん?」
「A先輩?」
「まーれ、まーれ、まれとまれ……とまれ……止まれ?」
そう呟いたと同時にグラウンドから守の「ゴロゴロゴロドッカーン!」と叫ぶ声が聞こえた。そして守は身動きがとれるようになった身体でゴールを守る。
「やはり。Aさんのお陰ではっきりしました」
「目金くん、どういうこと?」
「これは視覚と聴覚に訴える催眠術だったのですよ」
なるほど。グルグルと変わるフォーメイション、監督の呪文、これらは全て催眠にかける為の罠だったのか。だから守はそれより大きな影響を与えて掻き消す為に叫んだのか。トリックにさえ気付けば催眠だってどうってことない。
さあ、ここからは反撃開始だ。
21人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
むた(プロフ) - 星猫さん» 評価ありがとうございます! とても励みになります。 (2021年9月7日 17時) (レス) id: 43b2fdf14a (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - もう一つのpcがしました。初めまして!とっても素敵です!高評価しました! (2021年9月7日 13時) (レス) id: 7d3fe1e696 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:むた | 作成日時:2021年9月2日 18時