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尾刈斗中との練習試合当日。
雷門中の生徒はあの帝国学園を破ったサッカー部に興味を持ったのか、グラウンドには大勢の観客が身を寄せていた。辺りを見渡していると、忘れもしない、守の差し出した掌を無視した奇抜な格好の彼がお仲間を連れて偵察に来ていた。
「どうかした? A」
「……いや、何でもないよ」
マックスが一点を見つめている俺を不思議に感じたのか、首を傾げる。彼の存在を伝えようか迷ったが、これから始まるのはフットボールフロンティアを賭けた大切な試合だ。彼等のせいで集中力を削いでほしくはないため、黙っていることにした。
「もう。これから試合が始まるんだから、しっかり見ててよね」
「ごめんごめん。怪我はしないでね」
「僕だって染岡や豪炎寺まではいかなくても、活躍する予定なんだから」
「うん、応援してるよ」
分かればよろしい。とマックスは俺の頭を数回優しく撫で、選手の列に並ぶ。そうだ、今は彼等のことよりもチームが優先だ。
試合開始の合図が鳴る。
出だしはとても好調だった。相手選手のファントムシュートを守のゴッドハンドで止める。帝国戦よりも安定した必殺技、守はこの短期間でしっかり物にしたようだった。
続いてそのボールを風丸、少林寺くんと繋ぎ、最終的に染岡に渡る。相手のマークは豪炎寺くんただ1人だったようで、ノーマークな染岡の新必殺技、ドラゴンクラッシュで先制点をもぎ取った。
染岡本人から聞いてはいたけど、初めて見た彼の必殺技に思わず声が漏れる。
「あれがドラゴンクラッシュ、すごい……」
秋と春奈ちゃんも抱き合って喜びを分かち合っている。ドラゴンクラッシュというのは目金くん命名らしい。さすが目金くん、染岡に合ったかっこいい名前だ。隣に座っている彼自身もこの名を気に入っているのか、胸を張っていた。
その後も相手のパスをマックスがカットし、染岡に繋ぐ。そして再びドラゴンクラッシュで2点目を奪い取った。
マックスが俺に向かってピースサインを送ってくるのに対し手を振り返すと、彼は満足したのか嬉しそうに自分の持ち場へ戻っていった。試合は2対0、いい調子じゃないか。
だが、もちろん尾刈斗中も黙っているはずがなかった。
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むた(プロフ) - 星猫さん» 評価ありがとうございます! とても励みになります。 (2021年9月7日 17時) (レス) id: 43b2fdf14a (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - もう一つのpcがしました。初めまして!とっても素敵です!高評価しました! (2021年9月7日 13時) (レス) id: 7d3fe1e696 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:むた | 作成日時:2021年9月2日 18時