第51話、的なやつ ページ4
紫side
佐久間のヤローがAちゃんに告ったらしい。俺としては気が気じゃない。
俺に冷たくする理由聞こうと思ったら事務所にいないし、どこ行ったのかと思ったら佐久間に告られてるし・・・俺に愛想尽かして、って理由で冷たかったんなら俺だいぶピンチじゃん！！
紫「え、ねえ断ったんだよね？！Aちゃん！？」
貴「断りましたよ。他に好きな人がいるんで」
・・・えっ、他に？？他に好きな人？？？？
不貞腐れたような顔でそう言うAちゃん。足元が崩れ落ちていくような、そんな気分になった。
桃「ふっか、お前も勇気出してみれば？」
給湯室で佐久間にそう勧められた。
紫「他に好きな人がいるって・・・ああやって俺に言うってことは俺じゃないってことじゃん・・・無理・・・」
桃「あのなぁ・・・」
うだうだと弱音を吐く俺に、佐久間は大きくため息をついた。
桃「俺だって負け戦だってわかってて告ってんだよ！ほんとにお前じゃないかなんてわかんないだろ？！さっさと告れ！！振られた時のことは振られた時に考えろ！！」
佐久間に強く背中を叩かれて、強制的に背筋が伸びる。背中のヒリヒリ感が迷いを振り切るのにちょうどよかった。
紫「ありがと佐久間。俺、行ってくる」
桃「おう！振られた時は全力で笑ってやるから安心しろよぉ〜！」
紫「おぉい！やめろやめろ！！」
いつものやりとりが、肩に入った力を抜いてくれる。今度佐久間に飯奢ってやらないとだなぁ・・・
紫「Aちゃーん、ちょっといい？」
貴「・・・なんですか」
うーん冷たい反応・・・もうすでに心折れそう・・・
紫「あのさ、さっき言ってた好きな人ってさ・・・誰なの？」
相手が誰だろうと負けてられない。俺が1番Aちゃんのこと好きだって自信あるし。
貴「・・・誰でもいいでしょ」
紫「冷たいなぁ、そんなに俺に教えたくないの？」
目も合わせてくれないし、ほんとそっけない。
紫「まあ誰が好きでもいいけどさ、俺負けないからね？」
貴「え？」
紫「Aちゃんのことは誰にも渡さない。Aちゃんは俺のなの！わかった？」
貴「・・・あなたのものになった覚えはありませんけど」
そっぽを向いたAちゃんの耳が赤く見えたのは、流石に都合よく見えすぎかな
Aちゃんは知ってると思うけど、俺って執念深いタイプだからさ。今更他のやつになんて渡してあげない。もう逃げ道も用意してあげない。
紫「じゃあ、今からなってよ。俺の彼女に。」
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作者名：うさのすけ | 作成日時：2021年11月30日 5時
