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康二にレクチャーを受けながらAさんを食事に誘う。柄にもなくドキドキして打ったLINEの文面は、冷静になった今思い返すとめちゃくちゃなものだったけど、Aさんは「ぜひ!」と返してくれた。

決まった日程は、お互いの休みが重なる今週末。ランチを一緒に食べられることになったから、懸命にお店をリサーチする。康二のおすすめのお店もチェックして、色々吟味する。

人混みは苦手そうだし、最初からお高い料理は重いだろうし、・・・食事に誘う相手が好きな人ってだけでこんなにも考えることが増えるなんて、全然知らなかった。


その日も、仕事終わりにAさんを連れて行くお店を吟味していた。夜だったから、お昼の混み具合とかはわからなかったけど、それでも料理の美味しさとかはわかるし。

そして、一通り見終わり帰ろうとしたその時、目の前の居酒屋からAさんが出てきた。

スーツを着ていたから仕事終わりの飲み会かな、Aさんもお酒飲んだのかな、なんて考えながらおそらく上司であろう人に笑いかけているAさんを見つめる。

何か、引っかかった。

俺が見ていたAさんの笑顔と変わらないものだけど、客観視して初めて気づいた。


あの人、笑ってないんだ。

あんまりにも上手な作り笑顔だから気づかなかった。あの人は心の底から笑っているわけじゃない、誰に対してもああやって作り笑顔の仮面をかぶっているんだ。


もしかしたら、Aさんという人物は、俺が思っているような人ではないのではないか。もしかしたら、俺が知っているAさんは、仮面をかぶった部分だけなのかもしれない。


帰り道、Aさんのあの笑顔が頭から離れなかった。仮面をかぶったままのAさんは誰に対して心を開くのだろう、どうしたらあの仮面を脱いでくれるのだろう。頭の中をぐるぐると回るそんな疑問を抱えたまま、俺はいつもの公園に向かって足を進めていた。

公園には、いつものように缶コーヒーを片手にベンチに座っているAさんがいた。飲み会だったこともあってかいつもより顔が赤い。

紫「Aさん」

貴「あ、深澤さん。こんばんは」

笑顔だった。上司に向けるものとは流石にニュアンスが違っていたが、仮面であることは変わらないんだろう。

紫「さっき、居酒屋から出てくるとこ見かけました。飲み会だったんですか?」

貴「え、あぁ、はい。そうです。お酒、ほんとは苦手なんですけどねぇ」


まずは仮面を外してもらうところから、か。

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うさのすけ(プロフ) - 深澤リアコさん» ありがとうございます!作者の私もなかなかめんどくさい性格なので、「親近感が湧く」と言ってもらえてとても嬉しいです!少しずつにはなりますが頑張りますので、気長にお待ちくださいませ! (2022年1月22日 15時) (レス) id: 4a67e16777 (このIDを非表示/違反報告)
深澤リアコ - 私も夢主ちゃんみたいな性格なんで、親近感が湧いてきます。更新まっています。 (2022年1月22日 0時) (レス) @page16 id: 00c4a8b38f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:うさのすけ | 作成日時:2021年9月25日 0時

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