洋梨のロール。 ページ39
閉店15分前、いつものように指定席にはジフンさんがいて、帰りの支度をし始めた。
WZ「あのさ、これ。」
まるでラブレターを渡す不器用な高校生みたいに茶封筒を差し出すジフンさん。
『ありがとうございます……？』
受け取ったら、3,4ミリくらいの厚みを感じる。手紙にしては分厚くないか。
終業後、家に帰って開けてみると中にはCDケースが入っていた。表面にはWZ1201と記載されている。昨日の日付…？CDデッキに入れて聴いてみるとピアノが基調のインストの曲が10曲。多分、ジフンさんが作った曲なんだろう。朝の静けさや陽の光の柔らかさ、雪のきらめきや夜の鋭さ、冬のいろんな瞬間を孕んだ一枚。聴いているとすごく落ち着く。ずーっと流していたら、空が白み始めていた。あぶないあぶない、寝なきゃ。
また今日も店を開けて、先月から流してるクラシックのアルバムを再生する。……なんか違う。昨日の夜聴いていた音色が恋しくなる。でも、サブスクでWOOZIと検索しても、あのアルバムは出てこない。
『いらっしゃいませ。あら、二日連続なんて珍しい。』
WZ「……うん。洋梨のロールひとつ。」
『はい！かしこまりました。ご用意できたら席にお持ちします。』
プティガトーの横にCDのお礼代わりにジンジャーブレッドマンを一枚乗せる。紅茶を淹れて、配膳をする。
『お待たせいたしました。』
WZ「ありがとう。……聴いた？」
『聴きました！すっごく好きでした。』
WZ「よかった。このお店のイメージで作ったから。」
『わぁ、うれしい。』
WZ「夏もいいけど、俺にとっては初めて来た冬の日の印象が強くて、また同じ季節が巡ってきてどんどん曲が浮かんできた。」
『ありがとうございます！ウォヌさんに言ったら喜ぶと思いますよ。』
WZ「……あいつはいいよ。元々これはAちゃんのイメージが強いし。」
ウジさんとウォヌさんは仲良しで、よく音楽の話をしたり、ウジさんが持ってきた雑誌を二人で眺めたりしてる。
『ふふっ、わかりました。あの、このCD店内で流してもいいですか？』
WZ「うん。もちろんいいよ。他で出してないけど、ここでならかけてほしい。」
これから出す気もないけどねって。
『お客さまに何かけてるか聞かれたらどうしましょう笑。』
WZ「妖精の魔法って答えといて笑。」
『了解しました笑。』
私のところにちょっと慌てん坊のサンタクロースが来たみたい。
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すずな(プロフ) - 千笑さん» 千笑さま、コメントありがとうございます！そんなピンポイントな要望に添えてうれしいです笑。これからも眼鏡猫パティシエ(?)が作るケーキを楽しんでいただけますように！ (1月6日 18時) (
レス) id: 2b89f0e809 (このIDを非表示/違反報告)
千笑(プロフ) - ちょうどイケメンパティシエと恋に落ちたいと思っていたところでこの作品を見つけて、ほんとに楽しませていただいてます！ケーキも大大大好きなので、描写が細かくて毎回お腹いっぱいです笑笑。素敵な作品ありがとうございます！ (1月6日 12時) (レス) id: c7b840f656 (このIDを非表示/違反報告)
すずな(プロフ) - オニオンさん» ありがとうございます！とてもうれしいです。これかもまだまだ続くので引き続き楽しんでいただけら幸いです！ (12月23日 1時) (レス) id: 2b89f0e809 (このIDを非表示/違反報告)
オニオン(プロフ) - すずなさん» あぁ良かったです、、！いつも楽しく読ませて頂いてます！人物の描写だけではなく、ケーキや紅茶の描写までとても細かくて素敵でついついケーキと紅茶を食べたくなってしまいます笑これからも応援してます！ (12月22日 11時) (レス) id: 4300abda91 (このIDを非表示/違反報告)
すずな(プロフ) - オニオンさん» コメントありがとうございます！大変失礼しました。訂正いたしました。 (12月22日 10時) (レス) id: 2b89f0e809 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：すずな | 作成日時：2023年12月22日 1時
