パティスリー・リュンヌ 〈WN〉

ゆず茶。 ページ44

VN「おはようございます。」

『おはよう。』

プティガトーの仕立てはウォヌさんがやっていて、焼菓子は基本前日夜に仕上げてしまうからバーノンの出勤はオープンぴったりくらい。

VN「A、焼菓子どう？」

『昨日が結構出たから多めに焼いた方がいいかなぁ。明日もたくさん来てくれると信じて！最悪次の日のミンギュさんの店の分増やすから、よろしく。』

VN「了解。」

『上に賄いあるから好きなタイミングで食べてね。』

ハンソルは私と同い年で英語名がバーノン。チャンもディノにしたことだし、楽しいからバーノンって呼ぶことにした。

プティガトーを並べて、少なくなっていたチョコレート箱をリボンをかけて補充する。ディノは袋詰めしたやつをカウンターに並べられる分だけ下に持ってきている。……仕方ないじゃん、一階には袋詰めするスペースないんだもん。

『開店しまーす。よろしくお願いします。』

DN「お願いしまーす！」

厨房からも微かな低音がふたつ聞こえた気がする。


『いらっしゃいませ。お伺いいたします。』

「焼菓子の詰め合わせを予約したんですけど。」

『ありがとうございます。お名前よろしいですか？』

「パク・チェヨンです。」

隣でバインダーを持ったディノくんが確認して、チェックを付けてくれる。

「あと、アイスクリームもいいですか？」

『はい！もちろんです。』

「ミルクジンジャーのシングル、コーンで。」

『かしこまりました。お先にお会計失礼します。』

私がレジ打ちしてる間にディノがアイスをスクープしてくれる。

『こちらから商品と。』

ディノが手前に置いといてくれた白の袋。

DN「アイスです。ありがとうございました！」

すっっごい楽。クリスマスの生き地獄が嘘のように楽。
ディノは天使なのか。私が喫茶の提供をしている間はもちろんカウンターに立ってくれるし、暇な時間になるとウォヌさんのところに走って手伝えることがないか聞く。君ちょっといい子すぎない？


「……ちょっと落ち着いた？」

『はい！』

「これ飲みな。」

ウォヌさんの手にあったのは湯気立つゆず茶。バレンタインの時期はチョコレートが溶けないよう天然の冷蔵庫代わりに扉を半開きにしてるから、席までは届かなくても目の前のカウンターはめちゃくちゃ寒い。

「「ありがとうございます！」」

「……ディノ、ベレー帽似合ってるね。」

何故か喫茶の制服になったベレー帽。……なんでそんな照れてるの。

DN「え、あ、ありがとうございます……？」

そりゃそんな反応になるよ。

いちごとカスタードのパルフェ。→←メレンゲクッキー。

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