ミルクジンジャー。 ページ37
WN side
「よし、終わり。」
洗いものを済ませてシンクを磨き上げる。
あのあと、お客さんが増えて俺はAほど素早く接客ができないからかなり並ばせてしまった。プティガトーを5つも崩してだめにしたし。ミンギュがずっといてくれて、焼菓子を紙袋に入れたり、お客さんと世間話をしてくれたおかげてなんとかなったけど、もしミンギュがいなかったら今頃クレーマー地獄だった。
冷凍庫に入れておいたカップを持って、戸締りをして、家に上がる。
「ただいま。………っびっくりした。」
部屋に入ると電気も付けずに座って泣いてるA。
「どうした？」
涙でぐちゃぐちゃでメイクが跡形もなく流れてますよ、お嬢さん。
「ん、アイス食べるか？」
『……食べる。』
これは反応するの笑。そう思ってスクープしておいたんだけど。
「試作のミルクジンジャーとりんごのソルベ。食べ終わるまでに泣き止め笑。」
『おいし、……でも、もう少しカルダモン控えめの方が子どもは食べやすいかもしれないです。』
あ、ちゃんと分析もしてくれるのね笑。
「なるほど、試してみる。」
溶ける前にぺろっと食べ切ってくれた。
「熱は？下がった？」
『下がりました。本当にご迷惑おかけしました。』
「気にするな。明日定休日だからセーフくらいに思っといて。」
絵に描いたような申し訳ないって顔をしてて笑いそうになる。
「ミンギュのお母さんが参鶏湯持ってきてくれたから食べよう。」
Aがいないことはあっという間にこの辺の飲食店に伝わって、本当にうちの看板娘なんだなと思った。
『はい、』
鍋で温め直して、二人であっという間に食べた。
「うちの店、求人募集だそうかなって思ってる。」
『え……？』
「ほら、お客さんもいっぱい来てもらって大変じゃん？」
『わ、私じゃ力不足ですか？』
声も身体も振るわせているA。
「それは違う。俺たちが一生懸命やったから抱えられるよりも多く人気になってしまっただけ。俺、Aが倒れたときすごい怖かった。もしこのままAがいなくなったら、俺は何もできないって思った。そうならないために、これからもAと働くために考えたんだ。」
『……わかりました。』
Aが無理しなくても済む環境を作りたい。Aもわかってたんだよね、もうそろそろ限界だって。
「あとさ、ここに引っ越してこない？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1025人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
すずな(プロフ) - 犬こそ正義さん» コメントありがとうございます！大変失礼しました。全部訂正できたと思います。これからより一層気をつけます。これからも楽しんでいただけたらうれしいです。 (12月21日 13時) (
レス) id: 2b89f0e809 (このIDを非表示/違反報告)
犬こそ正義(プロフ) - めちゃくちゃ好きなお話で一気読みしましたー！ただ「」の中の名前が、たまに”ウタ”に変わってしまってます。。（自分でちゃんと変えてるのに）ご報告までm(*_ _)m (12月21日 11時) (レス) @page50 id: 3d5654d2e4 (このIDを非表示/違反報告)
すずな(プロフ) - ゆにっとさん» ゆにっとさま、ありがとうございます。茶道部！学校におやつを食べられる部活がなかったのでうらやましいです笑。これからも沢山のケーキと一緒に書き進めるので楽しんでいただけたらうれしいです。 (12月20日 22時) (レス) id: 2b89f0e809 (このIDを非表示/違反報告)
ゆにっと - いつも楽しく読んでます!紅茶とお菓子の知識量がすごいし、ケーキに合う紅茶の種類っていっぱいあるんだな……と読むたびに思って、紅茶などのお茶もケーキも好きな茶道部の私にとっては学ぶことが多いです🫥これからも更新楽しみに読みます！🫡 (12月20日 17時) (レス) id: e343824c42 (このIDを非表示/違反報告)
すずな(プロフ) - ノルンさん» ノルンさま。コメントありがとうございます。いつも楽しく拝読させていただいています。キャラメルラテのお話、大好きです。ただ趣味をテーマに妄想をしてるだけですが、これからも楽しんでいただけたら幸いです。 (12月17日 18時) (レス) id: 2b89f0e809 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：すずな | 作成日時：2023年12月16日 22時
