パティスリー・リュンヌ 〈WN〉

レモンマスカルポーネ。 ページ34

『いらっしゃいませ。』

「アイスクリームをダブルで。」

『はい！フレーバーをお選びください。』

年が明けるとウォヌさんは元に戻っていて、オープンから19時までのアイスクリームとパルフェの販売が始まった。まだまだ寒い季節だけど、温かい紅茶に合わせて頼んでくださるお客様が多い。ワッフルコーンで手渡しもできるから、茶葉をリピートしたついでに歩きながら食べますって人もいる。ディッシャーを使いすぎて手首が痛い。


「りんごとキャラメルのパルフェをお願いします。」

『かしこまりました。紅茶はキャンディという茶葉でご用意します。お席におかけになってお待ちください。』

手元にある小ぶりなベルを振る。パルフェの度にいちいち私が厨房に行くのが大変だからってウォヌさんが置いてくれた。控えめでかわいい音色が鳴る。

紅茶をカップに注いでサルヴァに乗せると

「おまたせ。」

ちょうどウォヌさんがパルフェを持ってきてくれる。いつもタイミングがいい。

『お待たせいたしました。ごゆっくりどうぞ。』

ケーキの箱詰め、紅茶とアイスの提供、焼菓子の補充、閉店前には焼菓子の梱包、前の店より運動量が多い。24歳にして、肉体の衰えを感じている。特に今日は身体がだるい。


『いらっしゃいませ、ソヨンさん。』

SY「店内で、アイスのダブルを、りんごのソルベとレモンマスカルポーネでお願いします！」

「かしこまりました！」

ソヨンさんはイブの破局のあと、お持ち帰りをすることはなくなったけど、私の紅茶を好きになってくれて喫茶に来てくれるようになった。
他のお客さんがいない時間だと、紅茶を蒸らしてる間、カウンター越しにおしゃべりすることもある。

『先にアイス、こちらから失礼します。』

SY「ありがとう。んー、本当に美味しいよね。ジャムとかも始めたらいいのに。」

『みなさん買ってくれますかね。』

SY「少なくとも私は買う。毎朝ヨーグルト食べるし。ミンギュの店に置いたら多分売れるよ？」

『あー、面白いかもしれない。』

ソヨンさんはここが地元でウォヌさんと同い年。ミンギュさんとは同じ登校班だったらしい。

SY「土曜日とか6時くらいにケーキ売り切れてるし、アイスも売れてることだし、従業員増やしたら？今結構大変でしょ。」

たしかに徐々に一人じゃ手に負えなくなってるのは感じている。……私じゃ力不足なのかな。

アールグレイ・ブルーエ。→←ベビーカステラ。

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