パティスリー・リュンヌ 〈WN〉

カレーパン。 ページ26

洋菓子店のクリスマスは24日が本番。25日は最早おまけみたいなもの。

『いらっしゃいませ。……あ、笑。』

MG「メリークリスマス、笑。」

アグリーセーターを着たミンギュさん。近所とはいえ、コートも着ずに元気だな。

『メリークリスマス。お店は大丈夫ですか？』

MG「昨日は忙しかったけど、今日はいつも通り。」

『うちもです。』

MG「これ良かったら。カレーパン。」

『え！まだあったかい。ウォヌさん、ウォヌさん！』

「ん？あ、いらっしゃい。」

『ミンギュさんからカレーパン！揚げたて！今日の賄いどうしようかと思ってたからありがたいです。』

MG「パウンドケーキ、特にこの時期めっちゃ売れるね。今日も売り切れ。」

『結構納品の数増やしてるのに。本当にありがたいです。』

MG「うちは明後日から4日まで冬休みだからしばらく会わないかな。」

『明日は定休日だけど30日まで開けて、3日から開いてます！小麦が恋しくなったらいらしてください笑。』

MG「無理して体壊さないようにねー、ばいばーい。」


「プティガトー足りてる？」

『足りてます！めっちゃ日差しが心地いいですよ。デッキでカレーパン食べたらどうですか？笑』

「なんでだよ笑」

……昨日からウォヌさんの雰囲気が優しくなったのは気のせいかな。


「明日暇？」

『……流石に寝たくないですか？』

予定なんてないくせに素直に返せない自分が一番愛想がないと思う。

「2時くらいでどう。」

『多分起きてます。』

「多分かよ。」

『ほっといたら夏場は蝉鳴き始めてから寝ますもん。』

「それはわかる。」

なんだこの猫が日向ぼっこしてるような空気は。

「お返しの代わりってことで。マンションの下まで迎えに行く。」

『……わかりました。』

それを引き合いに出されたら断れないじゃないか。


『いらっしゃいませ。』

SY「え、イケメン。」

『あ、』

SY「Aちゃん！何このイケメン。」

「…お知り合いですか？」

『常連さんです。週に2回くらい来てくださるソヨンさん。こんな時間に珍しいですね？あー、今日ティラミス置いてなくて。』

SY「別にいいのよ……」

『ソヨンさん？』

SY「昨日振られたの！だからもういいの。」

ソヨンさんはいつも彼氏さんの分も合わせて二つ買って帰るのが定番だった。彼氏さんが好きだったのがティラミス。

SY「私は振られるし、Aちゃんはイケメンといちゃついてるし。」

……いちゃついてはいない。

『……やけ食いですね？』

膨れっ面で頷くソヨンさんはなんだか可愛かった。

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