匂い。 ページ15
WN side
「その手離せよ。へし折るぞ。」
Aに触れた男の腕を掴んで軽く捻る。
俺の手を振り払いAを軽く突き飛ばして走って出ていった。
Aが倒れないように支えて、そのまま手を引いて店を出る。無言のままタクシーに乗って家に帰ってきた。
玄関に入った途端、気が抜けてへなへなとしゃがみこんでしまった。
「……なんであんなところに男と二人でいたの？」
『う、打ち合わせで呼ばれて、他にも人がいるって言うから行ったのに来なくて。』
本当にこの子は隙が多い。
「……あいつ出版社の人間なの？」
『うん。』
「この前の飲み会にもいただろ。」
すれ違ったとき、あの日抱き締めたAに微かに着いてたのと同じ匂いがした。
『あの日は助けてもらったから、悪い人じゃないと思ってて、だから、だから、』
必死に伝えようとしながら涙を浮かべるAを見て、やっと自分の声が威圧的になっていたことに気づいた。
「ごめんごめん。怖かったよな。Aが一番怖かったんだよな。」
首を振るAの頭を撫でて、部屋に入る。早く安心させてあげたくて、何も話さずに一緒にお風呂に入った。同じ匂いになってリビングに戻って、ソファに座って腕を広げる。
「何も考えなくていいから。」
そう言ったらやっと抱きしめさせてくれた。
「ミンギュが友だちとあの店で飲んでて、Aを見つけてくれて、俺に連絡くれたの。作家がバーで打ち合わせするって言うのはよく聞くから、遠目から見てたんだけど、Aはずっと困った顔してるし、あいつがいよいよ手出したから我慢できなかった。」
ミンギュからの着信とカトクの連投でどれだけ焦ったか。
「もし、ミンギュがいなくて、俺が行けなかったらどうなってたと思う？」
『……っ』
「あいつに襲われてたんだよ？」
『ご、ごめんなさい。』
また怖がらせてしまった。
「いや、あいつが全部悪い。Aは何も悪くない。」
そうあいつが悪い。でも、でも、
「俺、Aのことだと余裕ない。カッコ悪いのはわかってるけど、それでAのことが守れるならどうでもいい。もっと俺のこと頼って。なにかおかしいと思ったらすぐ連絡して。芸能人だからとか気にしなくていいんだよ。そのために結婚したんだから。これ以上Aに何かあったらおかしくなる。」
『ウォヌく、』
俺の頬に触れたAの手で自分が涙を流していることに気づいた。
『心配かけてごめんなさい。』
「心配するのが俺の仕事だから、それはいいんだよ。」
無条件に俺を抱きしめてくれる存在をもう手放したくない。
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そる(プロフ) - すずなさん» 楽しみにしてます！！ (2月11日 18時) (
レス) id: c372f2037e (このIDを非表示/違反報告)
すずな(プロフ) - そるさん» そるさま、コメントありがとうございます！私には勿体無いお言葉をありがとうございます♡またいつか更新するので気長にお待ちいただけたらうれしいです！ (1月26日 2時) (レス) id: 2b89f0e809 (このIDを非表示/違反報告)
そる(プロフ) - いつも楽しみにしてます！一番好きな小説です！ (1月24日 21時) (レス) id: c372f2037e (このIDを非表示/違反報告)
すずな(プロフ) - hifox0302さん» また素敵なコメントありがとうございます！始まりましたね〜！作者はまだ追いついてないのでお時間いただきますが、書きます！気長に待っててもらえるとうれしいです♡ (1月6日 22時) (レス) id: 2b89f0e809 (このIDを非表示/違反報告)
hifox0302(プロフ) - いつも素敵なお話をありがとうございます！ナナツアー始まりましたね！！寝起きドッキリのウォヌを見たcaratが奥さんとウォヌの生活についてこんなんかな〜なんて想像してるツイートなど見てみたいです！ (1月6日 16時) (レス) id: 957469a4be (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：すずな | 作成日時：2023年12月15日 23時
