答え合わせ。 ページ50
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半分放心状態のAの手を引いてホテルに帰ってきた。俺も受けてもらえたことが夢みたいでふわふわしてる。
俺がさっき渡した花束を見つめるA。
『どこに隠してたの？』
「魔法で。」
本当は待ち合わせの前にギャラリーに行って、受付に預けていた。帰り道はバレるんじゃないかとヒヤヒヤしてたけど、もう夜だったおかげでバレずに済んだ。
『この包装用紙、あそこのお花屋さん？』
「うん。お姉さん、Aのことも覚えてたよ。」
懐かしそうに花束を撫でるA。次は一緒に行こうね。
『本屋が閉まってたのは？』
「あれは偶然。」
だから人通りもなく、ゆっくり伝えることができた。
『……どこまで仕組んでたの。』
「びっくりした？」
『うん。すっごく。本当に私でいいの？』
「Aがいいんだよ。」
A以上に安心とときめきをくれる存在なんていない。Aの頭を抱き寄せてキスをする。何度も何度も誓ったのを確かめるかのように。
「あ、A、これ。」
忘れかけていたケースをポケットから取り出して、開いて見せる。
『え、』
「婚約指輪。」
『うう、ウォヌくん。』
「A、どした？」
プロポーズしたときは珍しく泣かなかったのに左手の薬指に指輪を通した瞬間泣くA。
『だって、もうプロポーズ終わったと思ったから不意打ちで。』
そっか。婚約指輪ってプロポーズのときに渡すものか。
「ごめんごめん。」
どうしても花束を渡したくて、それで必死だった。
『ううん。いいの。綺麗だね…』
その顔が見たかった。
『私、ウォヌくんと結婚するの？』
「うん。そうだよ。」
『すごいね。』
「……Aのお父さんとお母さんには一応昨日挨拶したつもりなんだけど、もう一回言いに行った方がいいかな？」
『行かなくていいよ。あの人たち別れてるんだから縁起が悪い笑。』
「俺はAと別れないよ。」
『うん。……でも、最初はみんなそう言うらしいから時間で示してね。』
悪戯っ子のような笑顔を浮かべるA。もちろんそのつもりだよ。
『小さい頃から絶対に私は結婚しないと思ってた。』
「そうなの？」
『うん。自信がないから、いつかウォヌくんに振られちゃうのかなってずっと怖かった。』
そんなわけないのに。彼女の不安は俺の手が届くとこより遥かに深い。
『でも、今はもうそんなに怖くない。強くなった。ウォヌくん、ありがとう。』
「俺と幸せになろうね、A。」
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作者名：すずな | 作成日時：2023年12月8日 4時
