月のしずく。 ページ46
You side
『私も飲んでみたいなぁ。』
SY「ワインを？」
「やめときな。」
今日は過保護が二人もいるんだった。
『じゃあ、他の人とごはん食べに行くときに飲んでもいいの？』
我ながらズルいとは思うけど、二人にはこれが一番効く。
SY「ここはデザートも美味しいんだって、気持ち悪くなって食べれなくなったら嫌でしょ？」
んん、デザートは食べたい。
『ひと口だけでいいの。だめ？』
「わかった。デザートのときに飲もう。少し置いといてあげるから。小夜さん、俺もう飲むのやめるのでなんかあったらちゃんと連れて帰ります。」
SY「わかった。……ウォヌさん甘いね。」
「小夜さんもね。」
ふふふ、勝った。
「"いちごのパルフェのお客さま"」
『"はい。"』
「"自家製ティラミスのお客さま"」
『"…はい。"』
小夜もウォヌくんも、よく食べてかわいいねって目で見てるけど、私はいつから幼稚園児になった。……初めからか。
『"あ、あのグラスもうひとつもらってもいいですか？ありがとうございます。"』
「忘れてなかったかぁ。」
『ふふっ、』
SY「仕方ないから、注いであげる。」
光に透かすと月のしずくみたいでわくわくする。白ワインのは果物と相性がいいと聞いたことがある。いちごのパルフェをひと口白ワインをひと口。
『んっ、おいし。』
SY「よかったね。」
両方ぺろりと食べて、ワインも美味しく一杯飲み切った。んー、頭がふわふわしてる気がする。
『ウォヌくん？』
「ん？」
『小夜？』
SY「何よ。」
『えへへ〜』
私が大好きな人が揃ってる。
『うぉぬくん、さよに会ってくれてありがと。』
「うん。こちらこそ……？」
『さよもありがと。』
SY「どしたの。急に。」
閉園間近のメリーゴーランドみたいに幸せだとだんだん寂しくなってくる。
『ふたりともいなくなったらだめ。』
「うん。いるよ。」
SY「私はずっといるわよ。いなくなるのはいつもAでしょ。」
『うう、ごめんね。』
SY「え、なんで泣くのよ。もう酔っ払ってんでしょ。お店出ようか。」
さよかうぉぬくんがお会計してくれたみたいで、いつのまにかコートを着せられ、うぉぬくんのまふらーでぐるぐるになった。
『ねね、てつなご？』
SY「ウォヌさん、お呼びですよ。」
『さよも。』
SY「はぁ。」
「赤ちゃんだね。」
『ふふっ、たのしかった。』
真っ暗な道をふたりとおててつないで歩いて、そのあとどうしたかは覚えてない。
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作者名：すずな | 作成日時：2023年12月8日 4時
